アイランドキッチンなんてつい最近の事
キッチンといわれ、生活の表に出てくるようになる前、台所といわれていたころ、台所はハレの場(生活の表)とは離れた裏方として存在しました。
一般的な住宅でリビングと一体になったキッチンはまだまだ歴史が浅く、戦後から、しかもかなり最近のことなのです。
台所が家の奥の裏方にあった意味は、夏の日差しから食物を保存しやすい場所であり、かまどからの換気の問題もあったと思います。
また、井戸も北側にあり、裏手にある必然性があったのだと思いますし、排水経路の問題もありました。
また、生活の裏方は見せない。という生活するうえでの当時の価値観もあったのだと思います。
水道が普及し、塩ビパイプが誕生するに至り家のどこにでも給水排水がとれるようになりました。
換気が自然換気から換気扇による機械換気に変わることで、臭いの問題も解決されてきました。
更にシロッコファンによるダクト換気でキチンの場所はかなり自由になりました。
一昔前自分の子供時代には、キッチンカウンターがリビングに向いて開いているなんて見ることはありませんでした。
ほんの40年前のことです。
ましてや、アイランドキッチンなんてキッチンが住まいの間取りの主役に登場するなんてついつい最近のことです。
川越 優の家 アイランドキッチン
キッチンとダイニングとの関係性
現在、キッチンレイアウトは完全に自由になり、表舞台に顔を出しています。
リビングと一体となり日本独特の空間に発展しようとしています。欧米では現在でもキッチンは作業をするところ、寛ぐリビングと同じ空間にはなり得ていません。
リビングと一体になったキッチン計画で大切なことは、「ダイニングとの関係性」と「裏方との関係性」です。
「ダイニングとの関係性」は言うなれば表の顔です。ダイニングを介してパブリッック性のあるリビングにつながります。
この場合のダイニングは、食事をするためだけのスペースではなく、たくさんの機能が求められます。
お母さんが家事をする機能
子供が宿題をする機能
お茶を飲みくつろぐ機能
家事用品を収納する機能
など沢山の機能が必要で、このことを考えておかないとリビングにしわ寄せが来ることになります。
「裏方との関係性」は水廻り、勝手口、洗濯、洗面、食品庫、ごみ置きなどプライベートな場所との関係性です。
表側に向かうパブリック性のある機能と、裏方がふさわしいプライベートな部分との連絡性「関係性」をよく整理しておくことが使いやすいキッチンの第一歩です。
キッチンは他の部屋と違い独立して便利な空間にはなりえないということをよく理解していないと使いやすいキッチンはできません。
ただシステムキッチンを置けばいい。
それは違います。
流れを考えながらのプランニングが大切です。