坂東市の家 平屋みたいな二階建ての郊外型住宅  テーマ=一つ屋根の下

野うさぎ、キツネ、雀達

動物は身の程の巣をつくります。

大きすぎることなく、小さすぎない。

ほどよく暮らし、ほどよく家族が納まります。

 

ほどよく小さな住まいは住む人の個性が少しだけ社会にこぼれます。

自分達の手足のような感覚の大きさは地に足を付けた暮らしを営む等身大の家です。

 

一つ屋根の下に住む家族の気配もがよくわかります。

違うことをしていても近くにいる気配

ほどよい大きさは家族の気配を、意識しない安心を伝えています。

郊外型の文字通リ「一つ屋根の下」の住空間です。

 

 


 

建設地 : 茨城県 坂東市

 

木 材 : 埼玉県産材 主にときがわ周辺の山林

 

構造  : 在来軸組み

 

外部仕上げ : 屋根/ガルバリウム通気工法) 壁/モルタル下地リシン吹付(通気工法)

 

内部仕上げ : 天井/土佐和紙&杉板 壁/漆喰&杉板

        床/1F桧15mm 2F/杉15mm

構造材   : ほぼ全て地域材にて調達(ときがわ町山林)

        柱/杉&桧 土台/桧 梁/杉&桧 4寸角

 

建物規模  : 敷地面積/450㎡ 延べ床面積/93.0/㎡

       

 

設計期間  :2016.12

工事期間  :2017.5 ~ 2017.11 約6.0月

 

長期優良住宅認定取得 耐震等級2 温熱等級4 維持管理 耐久性 可変性

 


南側、デッキと玄関周り

 夏の日射を遮るために南側の軒のでは大きく取っています。

冬は太陽高度が下がるので十分日差しが入ります。

外壁もデッキも無塗装で、壁は杉材、デッキは桧。

 

 雨のかかるデッキは一生モノではありません。少しでも長く使うには、保護塗装が有効で、植物由来の自然塗料をお勧めしています。

ノーメンテナンスで塗らないとリグニンが溶け出しグレーにだんだん変色していきます、またそれもよいかなどと考えていますがこの辺は住まい手さんと相談です。

 

 ポーチの脇にはベンチです。薪割に疲れたり、荷物を仮置きしたり、外にくつろげるところがあるとよいと思います。

 

 


玄関入るとこんな感じ

玄関からホールリビング

 

 印象的なチューリップのような照明は紙で、照明作家の「漉工房」さんの作品です。柔らかい感じが好きです。

 

 右手には建具が4枚入り、開ければリビングと玄関は一体となります。

薪ストーブは子供がまだ小さいのでガードをし、タイルの上に設置しています。

 

 天井は和紙

壁は漆喰で、ボード下地として簡素な工法としました。

床板は桧で壁に使っている板は杉です。

 

木の床や壁にしたい方にワンポイントアドバイス

 床はたくさん節があってもそう気になりませんが、壁にたくさん節があるとうるさく感じます、これは常に視覚に入るからだと思います。

壁の節はどうしても見てしまうのです。柱などは良いのですが面積が広くなると注意が必要です。

もっともログの雰囲気が好きなら気にすることはありませんが。

 

 

 


リビングの感じ

 1枚目は玄関ホールからリビングの眺めで左手奥がキッチン。

ダイニングテーブルの奥は、ランドセルが入る棚や家計簿やノートPCが開けるぐらいのスペースで机代わりになります。

その延長でTV台となります。

 

 掃き出し窓は南面でそのままウッドデッキにつながります。

 

 勾配屋根で2階まで天井は上がり、2階のホールと1階のリビング空間は一体の空間です。

 

 玄関ホール側は3枚の建具で仕切られますが、引き込めば玄関ホールまで一体空間となります。

 基本的に和紙の白と漆喰の白、それに木の色だけのシンプルな内装となります。

木も全てが日本の木なので色目もやさしいのです。

 


キッチンや洗面それに寝室

リビングからの風景の続きです。

 

 ストーブの隣は階段で。階段はリビングにオープンです。

正面に見える柱は伐採して自分たちで皮をむきました。当初は丸太のまま使う計画でしたが小割れ(小さな割れ)が表面に多く見受けられたので製材し角材としました。

この辺は木材により個体差があるので臨機応変に使い方を替えたりします。

 

 キッチンはシステムキッチンを入れましたが、食器棚は造作です。

チェッカーガラスがいい感じだと思います。

あまり引き出しなどはつくらないでシンプルに最低限の引き出しと棚、米びつ収納などで構成してあります。

 

 洗面は大きな実験用シンクでシャワーカランです。

詳細はこちれでご覧ください。

ブログ 今回の洗面化粧台

そのほかはこちらにもあります。

 

 階段途中の納戸と寝室の写真です。

寝室は北側階段の横から入ります。

障子を入れたやはりシンプルな空間です。

和紙は自分たちで手漉きをした一品です。

 

自分で手漉き和紙

 


リビングを見渡せる2階のホールです。

 大きな1枚の屋根です。

天井は屋根勾配そのままですが天井の上には20cm厚のセルロースファイバーと90mmの通気層が確保してあり輻射熱を防ぎます。

 

 天井面に見えている木部は屋根を支える構造材の下面です。

自説ですが構造が見えると安心感につながるのだと考えていますのでいつもできるだけ隠さない使い方をしますが、一つ間違えると古民家風というか、しつこくなってしまいます。まあそれがいいという人も多いようですが私はシンプルでしつこくないぐらいが生活空間としては良いのだと考えています。

 

 1階の床は桧を使いましたが2階は桧より足にやさしい杉です。

足裏が喜びます。

桧は杉よりも堅く、色味も白く、辺材(材の周辺)と芯材の色味の差も少なく、香りが強いです。

杉は柔らかく桧より傷つきやすい、色味は赤く、特に芯材は赤く、白身と赤みがはっきりしていますが数年で色味は均一に落ち着きます。

 

 この広めのホールは勉強をしたり本を読んだり、寛いだり、ほっとしたり、大人の趣味の空間としたり可能性がたくさん詰まった空間です。


子供部屋なる空間

 子供部屋ですがまだ仕切りがないので広い1室空間です。

暮らしに合わせて仕切りをつくり成長していく空間です。

 

 耐震性といって地震に対する強さをできるだけ高めようとすればたくさんの壁をつくりたくなります。

基本的に壁が多いほうが耐震性能は上げやすいのです。

実際そのような住宅もたくさんありますが、耐震性が上がるのと引き換えに可変性や暮らしの変化に対応する間取りの柔軟性は失われます。

 

 間取りの柔軟性を保ちながら耐震性を上げるためには、まづ1階と2階の柱の整合性をできるだけ整え、建物外周部で強度を高めることで室内をある程度フリーにする。

また、許容応力度で荷重を確かめ過度に地震力を負担する壁や柱を無くし、均等に荷重を受けるようにすることなどが大切です。

 

 この家は耐震等級2としています。

ある素材を付加することでこの間取りのままでも耐震等級3をとることもできます。

ある素材とは構造用合板(べニア)です。

強度をたやすく上げるにはべニアの使用が有効です。

 

 あまり使いたくないのは接着剤の塊であり揮発性成分がよくないこと、無垢材との相性が悪いことなどですが適材適所で必要な部分には使っています。


まだ続きます。5.25

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