洗面所を考える 01 2013.5.13

洗面所を考える 01

 

★洗面脱衣室の成り立ち

 「洗面脱衣」、入浴のために脱衣する空間として前室が必要になり、脱衣室が生まれました。

脱衣のための空間が生まれた歴史は浅く、浴室と共に家の中につくられるようになったのは実は昭和30年代以降なのです。

 

 それ以前洗面は台所の近く、たらいや桶で済まされていたようです。上水道の普及とともに浴室が家の中につくられるようになってからもしばらくは脱衣室という専用スペースはありませんでした。

 

 洗面化粧台が浴室前に置かれ、脱衣室とセットになったのは単に「水廻りをまとめる」という考えからで、これは漏水や水跳ねが多かったことと、施工上、コスト上、水廻りを近くに配置するメリットがあったからで、利便性を優先した考えではありませんでした。

 

これからはもっと自由にサニタリーを考えていきたいと思います。


洗面脱衣室を必要な機能ごとに分解してみるましょう。

 

 一般的に洗面所には洗濯機が置かれ、求められる機能は「脱衣」「洗面」「洗濯」の3つになります。本当にこの3つはセットに配置することがベストなのでしょうか。

 

★「脱衣」と「洗面」の関係

 

 だいたい洗面所はお風呂と同じ大きさ約、1.0坪程度が一般的です。

現実的には1.0坪に洗濯機と化粧台が入ると脱いだ服を置くことさえ困るスペースです。

 

 考えてみると洗面化粧台は浴室の前に無くてもよいのではないでしょうか、入浴の前に顔は洗わないし、脱衣と別の場所が洗面でもよいのかと考えます。

 

★「脱衣」と「洗濯」の関係

 

 入浴前に不脱いだ服をそのまま洗濯機に入れる。確かに合理的で便利です。

ただ何でもかんでも放り込みわけにはいきませんね。

裏返った服を直したり、色柄物を分けたり、適した洗い方で仕分けしたり・・・・

 

 そのまま洗えないのであれば洗濯機は単に脱衣籠になってしまいます。

そう考えてくると脱衣スペースには脱衣籠は必要だけれど、洗濯機は別の場所にあってもよいと考えられると思います。

 

分解して考えてみると暮らしに相応しいレイアウトが見えてきそうですね。


洗面所を考える。 02

 

★キッチンの近くに洗濯機を置いてみる。

 

 かつては給排水管からの漏水の心配などから浴室近くに置かれた洗濯機ですが、現在では工事に大きな不備が無い限り給排水管からの漏水は無くなりました。洗濯機から水が飛び散ることもありません。

ということは、使い勝手さえよければどこにでも洗濯機は置けるということになります。家族共用で使え、家事がスムーズに行える場所、例えばキッチン近くに置くことが便利そうです。

洗濯機の稼働音が気になりそうですが、建具で閉めるなどの工夫である程度対処できます。

 

 脱衣室から洗濯機が出ていけば脱衣のスペースは余裕が生まれます。脱いだ服を分けて入れる脱衣籠を用意したり、着替えを置くスペースを取ったり、ベンチをつくったり、収納を充実させたり、浴室の前室としての使い勝手がよくなりそうです。

 

★洗面化粧台も脱衣所から出してみる。

 

 洗面化粧台も漏水の観点から行けばどこにおいても心配はありません。

朝起きてからの洗顔を考えるとベッドルームの近くにあってもよさそうです。子供部屋や主寝室がある階のホールにあると便利だと思います。また、手洗い目的のシンクであればリビングの近くに設けるとお子さんのいる家庭ではとても便利に使えるはずです。

 

 洗濯の下洗いや、お子さんの靴などはさらに別に洗濯用シンクがあると機能的です。

配管からの漏水に開放されたはずの洗濯機、洗面台ですが、なかなか浴室の近くから抜け出せずにいます。

限られた予算の中、限られたスペースで、洗濯シンクや手洗いボウル、洗面化粧台などを配置するのは簡単ではないと思いますが、使いやすい=暮らしやすい配置を見つけるために一度分解して考えてみるのも決して無駄ではないと考えます。

 

これから洗面脱衣室はどんどん変わっていく部分だと思います。


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