大正時代から続く老舗の眼鏡屋さん
写真の3階建てはなんとコンクリートブロック造、築50年 雨漏れもひどくリノベーションも検討しましたが躯体の構造耐力を上げるのは困難と判断し建て替えとなりました。
次の世代につなげるための建て替えです。
間口が狭く奥行きが長い典型的な川越町屋 お隣との隙間もほぼゼロに近く、解体の困難が予想されます。
今回も3階建てですが木造としました。
準防火地域で景観地区でもあります。
イメージは大正期の建物、住まいでもあるので目立ちすぎない看板建築とのご要望です。
洗い出しの壁に朱色の建具、真鍮の取っ手が付きました。
取っては真鍮の棒を焼いてたたいて伸ばしてねじって
オリジナルです。
全容現る。
3階建てなので少し威圧感があるかなと思いながらも建具がついたりしてなじんでいくと思います。
室内も完成が近づいています。これは天井の竿ぶち室内に現れます。
以前決めた小粒石の洗い出し、モルタルに塗り込んでいるところです。この後渇き具合を見計らい表面を水で洗い出し、表面に小石を表します。
これも渇き具合の見極めが難しい。
洗い出したところ、さらに表面は後から磨きます。
厚く塗りこみ渇き際に表面をブラシで搔き落してしまうというザラっとした仕上げ、
同一面は一緒に搔き落さないと表情が変わってしまうので時間との勝負、横一列で同時に塗っていきます。
左官仕事はほぼ人件費、技術料です。
アーチ部分はこんな感じに仕上がりました。
左官の下地は昔ながらのラス下地と言われるもので杉板を目透かしに張っていき、これにモルタル受けの鉄網を張ります。
アーチ部分の下地も板でここまでが大工さんの仕事です。
窓上の庇を兼ねボーダーの見切りをつくります。
今回はファサードに力強い素材を使います。
1階には石
2.3階は掻き落とし
石は小粒の砂利を塗りこみ洗い出す、洗い出しという左官の古くからの仕上げとしました。小石のサンプルを作り色味を検討します。
現場で色味を合わせます。
ポイントになる色を決めそれに合わせて外壁の色味を決めていきます。
今回のポイントは朱色 玄関ドアの木製建具をお店のイメージカラーである朱色で行きます。
準防火地区なので室内もほぼ木部の現わしはできませんが、木材はいつものように地域材の杉桧を使います。
繁華街の作業は大変しかも材料を置く場所がないので、道路使用許可をとり、周辺の方々にご理解いただき作業が進みます。
やっと上棟、少しホッとします。
外周部のブルーの枠は断熱材です。
基礎断熱の断熱材をコンクリートと一体で打ち込みます。
間口が狭い建物で構造的なバランスをとるのが難しい建物形状です。
基礎も荷重が集中する場所があり、施工が複雑になる場所が出てきますが的確な施工をしていただきました。
監理の役割は確認と記録です。
見えなくなる部分は特に間違いがないように客観的に見ることが大切です。
材料検査を行います。
所定の素材であるか寸法であるかなど確認します。
鋼管杭といいます。
支持層が比較的浅い場合に採用します。
調査結果に、基づき所定の深さまで回転させながら圧入しますので騒音低く市街地では採用しやすい工法です。
観光や人の通りも多くとても大変な解体作業でした。
解体工事だけでなんと1ヵ月かかりました。
ぽっかりと歯が抜けたみたいな街並、江戸時代の川越大火の名残の瓦などが出てきます。
川越の旧市内は比較的地盤がいいのですが既存建物の基礎が深く掘り返しているので地盤が安定せず補強が必要になりました。