雨樋を見直してみる。

ガルバリウム雨樋
ガルバリウム雨樋

あるのが当たり前雨樋

雨どいの成りたち

 

 雨樋とは雨水をスムーズに集め排水する装置です。

樋が無いと屋根から落ちた水が地面をたたき、溝が出来たり、跳ね返りで外壁を汚したりします。

 また、建物に近い場所で水たまりが出来たり、建物周辺で湿気が発生し快適性を損ないます。

建物の耐久性を考えても雨が軒先から外壁を伝わり内部に達し構造材を腐食させる可能性もあります。

 

雨樋の素材

 

元々は竹や板で作られてきました。

現代でも神社やお寺、茶室などで竹や板の雨樋を見ることが出来ます。

その後、金属加工が一般的になると銅やブリキ(亜鉛鉄板)が使われるようになりました。

 

現在金属系では昔からの銅製をはじめ、ステンレス、ガルバリウムなどが使われ、ブリキは見なくなりました。

金属系以外では戦後の素材産業の革新から石油由来の製品が普及し、ビニール雨樋が誕生し、広く使われるようになりました。

 

 当初は熱に弱く施工後に高温で曲がってしまったり変形やたわみが大きく問題になりましたが、現在では塩化ビニールに添加剤を配合することで安定した形状を維持できるようになりました。

 

雨樋はもともと金属加工品であったことから施工は板金職人が行い、塩化ビニールになってからも板金職人の仕事として定着してきましたが、職人不足の影響からも加工から取付に技術が必要な金属製が敬遠され、塩ビ製が雨樋の主流となりました。

 

 

 最近では屋根素材に耐久性の高いガルバリウムが使われるようになり、それに合わせてガルバリウムの雨樋がつくられるようになり、塩ビ一辺倒だった雨樋選択に幅が広がりました。


シャープなガルバリウムの半丸樋 屋根と同色
シャープなガルバリウムの半丸樋 屋根と同色

雨樋の素材による特徴

ガルバリウムの良いところは熱による変形が少なく初期の形状から勾配を維持しやすく、塩ビに見られる退色もほぼありません。

金属の質感には好みもありますが瓦屋根であろうとガルバリウム屋根であろうと軒先をシャープに見せてくれます。

 

 ステンレス製の雨樋は耐久性に関してはガルバリウムの上を行くと思われますが金額的なネックでビルなど大型建物では採用されますが住宅ではなかなか使いきれません。

 

 銅製は和風住宅などではよく使われ昔から耐久性の高い素材として認知されてきました。銅板の屋根との相性は問題ありませんが、異種金属屋根との取り合わせは電蝕といい腐食が発生し穴が開くことがあります。

また陶器瓦との組み合わせでも釉薬の金属成分が溶け出し、銅を腐食させるというデータもあるようですので使う際には素材同士の相性を良く調べる必要があるようです。

 

まとめ

 コストも含め使いやすいのは塩ビ製で形状も豊富で近年の製品は耐久性も高い。

素材感や耐久性、納まりのシンプルさを求めるなら少し高いけどガルバリウムがお勧め。

ステンレスや銅製は金額や使い方でなかなか難しいので慎重に。

外部はなかなか手を入れにくい部分です出来るだけ耐久性の高い素材をお勧めしています。

ステンレスとまでは行かなくともガルバリウムの採用をお勧めします。

 

雨樋の大きさの決め方

 雨樋には雨を受ける流量によりサイズがあります。

大きな屋根と小さな屋根では当然求められる排水能力は変わります。

肝心なのはどれだけの雨が樋に集まるのかを計算することです。

その時にポイントになるのは当然のことですが根拠となる降雨量、時間当たり50mm/hとするか100mm/hとするか150mm/hを考えるのかです。

単純に時間当たり50mmと100mmでは倍の排水能力が必要になります。

 

 最近のゲリラ豪雨などを経験すると100mm/hでも足りないような感がありますが、極端な豪雨はイレギュラーとし樋の排水能力を超えるのもやむを得ない。という考え方も間違いではありません。

 また軒樋だけでは無く縦樋の数や取付位置で排水能力は変わります。

 

 

 あまりに大きな樋はいくら排水能力が高くともきれいではありませんね。バランスよくスムーズに排水できるサイズを計算により求めどの程度の雨まで対応できるのか設計者に問い、自分の家の性能という面で知っておくことも良いと思います。


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