薪ストーブはコスト高
アーキクラフトでは川越に薪ストーブの家がまた1軒竣工しました。
自然素材を多用した住まいを設計していると、エネルギーも循環可能なバイオマス燃料が使いたくなります。
薪は再生可能エネルギーであり、燃焼時に排出されるCO2も木材が成長時に吸収したものなのでカウントされません。
最もエコロジーであり、化石燃料の使用を抑えることは子供たちの世代にエネルギーを残すことにもなりますので環境的にとても良質なエネルギーなのです。
そんな良質なエネルギーを使う撒きストーブですが、端的に言ってしまえばランニングもイニシャルも高コストなのです。
住いの打ち合わせをしていると当事務所のような家づくりを希望される方の多くは薪ストーブに興味があり「どいうでしょうか?」と聞かれます。
いいことばかりではないので不都合な部分もお話した上で選択をしていただきます。
なぜ高コストか、ある程度品質の良いストーブは大きさにもよりますが本体だけでも60万から80万さらに煙突工事が30万から50万程度掛かります。
さらに専門家に委託すればメンテナンス費用として煙突掃除など年間3~6万程度はかかります。
イニシャルのハードルが高いですね。エアコンや灯油ストーブを10年に1回づつ買い替えても建物寿命を考えても半分にもいきません。
また、燃料費、ランニングコストも安くはありません。
埼玉県でも薪ストーブで年間暖房を考えると約3000kg程度の薪が必要になります。
10kgで約500円ぐらいなので年間燃料費が15万円から掛かります。
これを灯油暖房にしたとすると埼玉県の平均家庭の灯油使用料は約350Lという統計がありますので、160/lとして5.6万円となり約1/3で済んでしまいます。
仮に30年間で考えると15×30=450万円 5.6×30=168万円 282万円の差額になります。
薪ストーブは採用する動機が大切なのです。
趣味の暖房と考え、薪の調達自体も趣味、薪割作業も趣味と捉えられる人でないと低コストでは使いこなせないのです。
労力さえ惜しまなければ薪はほぼタダ同然で手に入ります。
薪ストーブ=趣味人の暖房ということです。
少し手軽かな?という感じなのでペレットストーブに興味を持たれる方もいます。
確かに着火などは電気を使うので手軽ですが、炎が燃えているという薪ストーブのような情緒的な楽しみはほとんどありません。
基材としての味わいも薪ストーブの存在感にはかないません。
バイオマス燃料なのに電源が必要なところも残念ですね。
燃料費は薪のように趣味で調達できるものでは無く、完璧に購入しなければなりません。
燃料費としては薪ストーブよりは効率が良いとはいえ、埼玉近郊でも年間では2500kg程度は必要いになります。
10kgで400円程度なので年間約10万円程度、灯油ストーブの約倍のイニシャルが掛かります。
メンテナンスは薪ストーブに比べれば楽ですが、FF式ですから移動はできません。これは薪ストーブと同じです。また、煙はほぼでないので都市部での使用にも不安はありません。
このような訳で薪スト-ブやペレットストーブは設計という仕事柄積極的に採用しましょうとはなかなか言えないのです。
お会いした時から入れたいと言ってくる方はそのようなことはすべて了解済みであったりします。
薪ストーブを有効に使うためには設置場所と空間の取り方、間取りが大切になります。
ただ置けばいいという考えでは十分に機能しません。
プランニング段階からの検討が大切です。
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