倉庫・事務所・研究所・店舗・農業施設・保育園、在来工法だけでは無理のある大きなスパンもトラス構造を取り入れながら実現することができます。
鉄骨構造も優れた構造ですが、木造の方がふさわしい場合も多々あります。
木造の可能性も事業者の方々に選択肢として知っていただきたいと考えています。
一般的な住宅では極端にスパン(柱間)が大きくなったり、特別な荷重が掛かるようなことはほぼありません。
しかし、事業用の空間では大きな無柱空間が必要になったり特別な荷重が掛かる場合があります。。
一般的に建築業界ではそのような場合は鉄骨構造を提案します。
鉄骨構造は耐火がとりやすく優れた構造ですが、建物の性質によっては木造の方がよりふさわしい場合もあります。
木造での大空間の実現は綿密な構造計算から成り立ちます。
特許やパテントを取得したクローズされたシステム建築より、可能な範囲で地域材を使いながら大工さん、工務店が取り組める工法的にもオープンな手法で大空間構造を目指しています。
昭和の中頃までは木造による大スパンも建築されていましたが、鉄骨構造やプレハブ構造の普及により木造での大スパンは計画されなくなってしましました。
しかし近年の木促法の施行や公共施設での木質化、脱炭素社会という流れで民間企業でも木質化が今後ますます増えていくと考えています。
何々工法と言われる特許やパテントを取得したクローズされたシステム工法はある意味ブラックボックスで安全性の検証などもメーカー任せとなります。
また特約店形式など地域の施工会社に依頼することも難しく、コスト的にも割高ではないかと考えています。
大断面の集成材とは大きな梁を強度を指定して製作するということです。
必要な曲げ強度・せん断力・座屈など構造設計先行で材を製作していきます。
もちろん汎用品の集成材を使用することもあります。
柱にも集成材を使用し大断面を製作します。
イメージとしては鉄骨構造の鉄が木に置き換わったイメージです。
メリットは鉄骨の考え方と同じなので3階4階5階と階層を上げていくことが可能になり、共同住宅やオフィスビルなどが可能になります。
デメリットは製作する集成材などで部材コストが高くなります。
鉄骨の考え方と近いので基礎工事が高コストとなります。
昭和の前半ぐらいまでは学校や講堂、工場などでは普通に使われてきた工法です。
流通材としての規格木材(比較的小さな材)を使用し、地域の大工さんが取り組める工法です。
メリットは部材数は増えても特別なものは使わないので、コストを抑えることが可能になります。
地域材が使えるため地域の製材所との連携で地域に仕事を回すことが可能になります。
デメリットは三角形を構成する構造形式のため梁成が大きくなり、階を重ねていくのが難しくなります。
平屋や最上階での大空間がメインとなります。
建物規模:≒500㎡(151坪) 半地下二階建て
工法:在来工法+ハウトラス
トラススパン:7.5m
構造の特徴としては全て地域の無垢材としました。
自然はワイン醸造によくないと思われる集成材による接着材なども極力避けたいとの意向から全て杉檜による無垢材としました。
トラス構造は無垢材でも十分可能ですがデメリットもあります。
無垢材というのは木材1本1本全て多少なりとも強度が違うものです。同じサイズでも個体によりばらつきがあります。
個別に強度試験で確認することも可能ですが、安全を考えると強度を割り引いて材のサイズを決定することになります。
例えば計算上では18cm×12cmのサイズの梁で足りるところも強度のばらつきを考慮し21cm×12cm程度を指定することになります。
この積み重ねで全体の材積が大きくなる傾向があり、このことはコストに影響してきます。
建物規模:≒1000㎡(300坪) 2階建て
工法:1階在来工法 2階プラットトラスによる大空間
トラススパン:12.56m
構造の特徴としては規格流通材を主とし、一部集成材を製作し使用しました。
またメインのプラットトラスは圧縮は木材を使用し、引張応力が掛かる部材には高張力鋼を使っています。
見せる骨組みとしての構成となり、トラスの中ではコストがかかる構成です。
トラス構造は引張と圧縮部材により構成されます。
材と材の繋ぎ部分(支点)を押す力を圧縮材
(支点)を引っぱる力が引張材となります。
木材の性質上押す力はとても強いのですが引張部分はその接合部(支点)の固定が難しくなります。
大きな接合プレートなどでガチガチに固めることにより、視覚に入る空間ではどうしても無骨になってしまします。
それに対して丸鋼材などは単純にボルト固定ができ性質上圧縮より引張に強く材が細くできるため見栄えもすっきりしてきます。
鉄と木材両方の良いところを組み合わせることで軽快に空間をつくることが可能になります。
建物規模:A棟≒360㎡ B棟≒400㎡ C棟≒260㎡
C棟≒115㎡ E棟≒200㎡
合計≒1335㎡(403坪) 平屋建て
構造の特徴としては全て規格流通材を使ったネジ接合によるキングポストトラス。
仕口の接合部(木材の接合部分)に専用プレートを埋め込み木材による引張仕口を可能にしています。
木材だけでトラスを構成する場合の弱点になりやすい引張力による接合部、高張力ボルトで引張を負担させたりするのですが、さらに合理化し、木材のみで納める工法です。
引張の仕口を強化した合理化工法で専用のプレートを介してビスとボルトで接合部を構成します。
単純なキングポストで12.0m程度までのスパンを構成できます。
今回はBXカネシンさんの接合システムを使いました。
倉庫や工場などコストを押さえながら広い空間を確保するのには最適ではなっかと考えています。
部材も規格流通材で構成することができ、大工さん工務店での施工が十分に可能です。
一番コストがかからない構成だと考えます。
倉庫・事務所・研究所・店舗・農業施設・保育園など見せる大空間スパンをご検討の方ご相談ください。