13・シンプルにするわけ 

 

 

 

つくり過ぎない工夫

 

 シンプルな木の家と称し、飾り気のない家を埼玉で提案しています。

住いの雑誌や広告を見ると、何々風という家のスタイルがよくみられます。

 

 誰しも心惹かれるイメージやデザインはあるのだと承知していますが、家に関してはあまりストレートに何々風を試みることはお勧めしません。

 大きなくくり型では和風や洋風という言い方もそうですし、細かくなると古民家風であるとかプカナダ風であるとかですが、その場所に必然性のない物にどうしても違和感を感じてしまいます。

 

「~風」とは「そのように見えてそうではない物」という意味があるようですし、どうも上辺だけの軽い感じもしてしまいます。

 

また、土地の違和感や言葉のイメージだけでは無く、「暮らし」を考えたときにも心配事があります。

 

 それは「今好きなものが将来も好きだとは限らない」

ということです。

ましてその家に世代を引き継ぐいでほしいと考えたときにどうでしょうか、子供がその風に乗ってくれるのかはなはだ疑問です。

 

 強い信念かもしれませんが好みや暮らし方は変わるものまして子供までは読めません。

 

 だからつくり過ぎない、主張しすぎないことを目指しています。

 

 

 


主張しない内装

 

 姿かたちや間取りもできるだけ単純にして、暮らしの変化に対応できるものにしたいと考えていますし、状況が変わりその家を手放す場面が訪れるかもしれません、そんなこと考える必要はないのかもしれませんが、万が一そのような場面が来たとき、余りに個性的な住まいは有利には引き渡せない物です。

 

 外観をシンプルにすると必然的に耐震性が上がります。

 

 屋根がシンプルだと雨漏れのリスクが減ります。

 

 窓の位置や形がシンプルだとすっきりとし姿かたちになります。

 

 特にシンプルにしたいのは内装です。

 

 自然素材を使った家ではよりシンプルにすることにより素材の質感が際立ちます。

私が提案するのは木の色と漆喰の白い色だけの色の無い空間がほとんどですが、そのような癖のない空間では家具やカーテン、植物などがとても引き立ちます。

 

あまり主張しなくてよい。

 

 茶道としてのお茶をやられる方であれば茶室に用意された一輪挿しの美しさに気が付かれたこともあるでしょう、女性の和装の美しさが際立つことにも気が付かれていると思います。

 

私は不作法ですが、茶室の考え方には惹かれます。

 

 出来るだけシンプルに仕上げアクセントやイメージは交換可能なインテリアで考える。

これをお勧めしたいです。

設計事務所の関わる家は個性的と言われることが多いようですが、私たちは何々風では無い個性を木の家で設計し実現したいと考えています。

 

 住まう人の個性はそこはかとなく社会に環境にこぼれるくらい、よく見ないと気が付かないぐらいが調度いいのだと考えています。

 

 

 なぜなら住まいは地域社会の構成要素なのですから、あまり主張しないぐらいがちょうどよいと考えています。


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