「ヘアークラック」(乾燥収縮クラック)と呼ばれる基礎コンクリート面のひび割れがあります。
読んで字のごとく髪の毛のように細いクラックのことを言います。
建築的な知識が無い一般の方には、ヘアークラックであっても基礎の欠陥と捉えてしまいがちです。
建て主さんが「基礎のひび割れが心配です。」とヘアークラックをさして工務店に話をすることがあります。
工務店さんのほとんどの方は、「表面は乾燥するからね」「そのぐらいは何でもない」とか、「多少はしょうがないんだよ」などと簡単に受け流してしまいがちです。
建て主さんは本当に心配しているのだからそれでは不親切で、不信感の芽を育ててしまうかもしれません。
「説明責任」は大切です丁寧に説明し、欠陥なのかそうではないのかを整理して伝えたいと思います。
乾燥収縮によるヘアークラックは構造的な欠陥ではありません。
コンクリートは建物が完成してからも2年程度は内部の水分が抜け、それに伴い乾燥収縮によるヘアークラックもまだ起こり得ます。
これは構造に由来した欠陥では無く、コンクリート表面に発生する避けようの無い現象です。
ここで問題になるのがどのくらいのクラックまでがヘアークラックと言えるのかです。
髪の毛のように細いクラックとは何ミリまでを言うのでしょうか?
どこまでが乾燥収縮によるものなのでしょうか?
単なるヘアークラックは一度ひび割れてから進行(幅が広がる)ことはありません。
注意しなければいけないのは最初はわずか0.1mm程度であったものが時間の経過とともに0.3mm.0.5mmと拡大していく場合です。
拡大し、0.5mmまで来たら、構造的な問題が発生していると言えます。
「構造クラック」の出現です。
判断の方法はひび割れをエポキシ樹脂系の接着剤で一度修復し、後に再発(拡大すれば)間違いなく「構造クラック」で、基礎の不同沈下が始まっていることを示します。
現代の基礎では不同沈下以外で「構造クラック」が発生することはまずありません。
不同沈下以外では建物荷重による原因になりますが、まずないと考えて大丈夫です。基礎に影響が出る前に、土台に柱部分での「めり込み」が発生し、土台が吸収してしまいます。(これも構造的欠陥ですが)
見分け方は時間の経過とともに広がるのかどうかです。
ヘアークラックの場合は幅が広がり進行することはありません。
「構造クラック」の自分でできる簡単なチェック方法は、長さが基礎の高さの2/3以上あるものに注意し、時間をかけて(一年以上)経過を写真で記録したり、接着剤で補修したりしてみることです。
「構造クラック」は大きな地震でもない限り急に発生することはありません。
じんわりと進行していきますし、対処する方法もあります。
古い建物の耐震診断などに伺い基礎の中に入ると、クラックから外の光が透けて見えるなんてこともあります。
そのような場合でも補強することによりある程度の強度は確保できます。
構造クラックの原因の多くは内部鉄筋の施工不良による引張力によるコンクリートの亀裂です。
見た目はコンクリートが割れるのでコンクリート自体の欠陥と思われがちですが、この場合はコンクリート強度はあまり影響はなく、鉄筋の配筋不良が主な原因となります。
防ぐためには正確な地盤の把握と基礎鉄筋の適切な工事です
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