畳で布団を敷いて寝る。昔ながらのスタイルでは起こらないはずの不具合がベッドで生活には起こります。
不具合とはベットが移動しにくいことから起こります。
小さい時は家族皆で寝ていても子供が大きくなり、親離れしてくると多くの家庭ではそれぞれがベッドで寝ることになります。
和室をつくることが少なくなったことも一因ですし、高齢化するとベッドの方が楽なのも確かです。
寝室又は将来寝室になるであろう部屋を考えるときはベッドの配置を考えておきましょう。
布団は敷き方を変えることが出来ますが、大きなベッドはそう簡単に動かすことが出来ません。
注意するポイントはまず部屋の配置、寝室なら南側にある必要もありません、大きな開口部が無くても過ごせますので北側でもいいでしょう。
室内の計画では最初にベッドの配置を決めてから窓の配置を決めていきます。掃出し窓がベッドにかからないようにするのはもちろんですが、ベッドの位置にある場合は取付高さに注意して、背もたれにかからない高さにしておきましょう。
また、本を読むことも多いと思いますので、照明用のコンセントも寝ながら手が届く範囲に計画しましょう。
エアコンの計画でも直接体に冷気が当たらない場所に計画できればいいですね。
このように後から部屋にベッドを合わせると不都合な場面が出てきます。
住まいの間取りを考えるとき洋室の場合はベッドありきの室内計画をお勧めします。
住まいの間取りの全体計画において優先するのはどうしてもリビング~ダイニング~キッチン~水廻りの動線になります。
その上でできれば寝室を水廻りの近くに配置することを心がけています。
一般的には敷地面積の関係で総2階になることが多く、寝室は2階という場合が多くなりますが、可能であればトイレはもちろん、洗面、浴室に近い場所に配置できれば将来的にも使いやすいものになります。
お風呂から上がったらすぐに眠りたい方も多いでしょう。
年を重ねるとトイレに行く回数も増えてきます。リビングや玄関ホールを通過せずに洗面浴室に行けるメリットは家族の中で生活時間帯がずれた場合にも便利です。
キッチンと水廻りの動線は一番重要ですが、頭の隅に寝室と水廻りの関係性も留めながらのプランニングをしていきましょう。
高齢になると誰でも階段の昇降がつらくなります。今は2階が寝室でも将来的に1階に寝室が移せる構造計画がベスト、6畳以上のスペースが独立して確保できれば将来にも対応できます。
そのような場合ではリビングの一部が寝室になってしまうかもしれませんが自宅で過ごせるというメリットは大きいものです。
今が足りているのはもちろん大切なことですが、将来の暮らしの変化に対応できる可変性も使い続けるためには大切なことです。
高齢者の寝室は洋室とし、ベッドにしておきましょう。畳の部屋に布団では敷く、仕舞うという毎日の作業が大変です。
また、必然的に寝室にいる時間が長くもなります、若い時は寝るだけの部屋であった寝室にもより快適に過ごせる工夫が必要になってきます。
高齢者の寝室では日当たりと通風に配慮し、窓も大きめがいいでしょう。できれば直接外に出られると運動する機会も増え、より健康に過ごせると思います。
高齢者との同居の場合に気を付けなければいけないのが生活時間帯の違いによる生活音です。
就寝する時間にTVの音が響いていてはお互い気疲れします。また、浴室の音もよく響きます。ドライアーなどの音も響きますね。
なかなかすべての配置が距離感をもってうまく納まるわけではありません、場合によっては寝室の防音ということも考えましょう。
カラオケルームのような防音まで入りません、生活音が小さくなる程度であれば費用も抑えられます。
お互いが気疲れしない工夫が大切です
2011年になりますがアーキクラフトで設計した「御宿の家」では2階が隣室ですが将来のことを考え、2階寝室からは段差なしでキャスター付きベッドがバルコニーに引きだせる工夫をしています。
実際にそのような場面になるかどうかはわかりませんが、ベッドに寝たまま日向ぼっこが出来るようにバルコニーも広くし、ベッドが通過できるようにサッシは引き込みタイプの大開口タイプとしました。
バルコニーで寝なくても布団を干したりするだけでもベッドごと出せるのでその時には活躍してくれると思っています。
また将来的にも2階寝室を予定してストレートで幅広の階段には片側の壁にリフトが設置できる補強が入れてあります。
生活の変化は必ず起こるものです。
想定で来て対応できそうなことは仕掛けておく、仕掛けないまでも頭に入れておくことが大切で、飽きられない住まい続けることが出来る家の約束事だと思います。