埼玉県小川町です。
築120年戊辰戦争のころに建てられたらしいです。
築120年からの旧庄屋さんの古民家を改修して料理教室とカフェにリノベする工事が進んでいます。
空き家を活用し地域に開き料理をキーワードに積極的に地域にかかわっていこうというプロジェクトです。
いろいろな人が関わりそれぞれがそれぞれなりの責任を持ち進めていくやり方で、元受けとして一般的に工事を請け負う立場の人はいません。
私はメインとなるオリジナルキッチンのみまとめる担当となりました。
オーガニックな食材を使うキッチンです。
どんなキッチンにいたしましょう。
不特定多数の人が使う予定ですのでガンガン使えるキッチンをつくりたいと思います。
オープンイベントの写真を送っていただきました。
私は仕事で行けなかったので残念ですが、ガンガン使われているようでうれしいです。
「やしきぼっこ」はまだまだすべては完成していません。
これから少しずつ出来上がっていくそんな感じです。
コスト重視でガンガン使えるそんなキッチンを自由につくらせていただき感謝しています。
また現場製作にあたっては小川町の畑建築さん・コムロ企画さん・毛利さん・そのほか大勢の仲間に大変お世話になりました。
アイランドキッチン完成
山桜の天板がやってきました。
パーティーシンクを落とし込み、水栓金具も付きました。
水洗金具はカクダイというメーカーを使いました。
この山桜は剥ぎ合わせという手法で何枚かの板を剝ぎ合わせています。
剥ぎ合わせのメリットは一枚板に比べ変形が少なく使いやすいです。
今回は一本の丸太から引いてもらいましたので色目もそろいました、同じ樹種でも個体が違えば色目も癖も違うので可能であれば1本の丸太から取りたいものです。
仕上げの塗料は自然塗料のワックスです。
プラネットカラーのグロスクリアー艶の感じも自然で輪シミもできにくい、とはいっても自然素材なのでウレタンのように強くはないので、メンテナンスは必要です。
キャスター収納関係もできあがり私の担当分野はほぼ終了しました。
後はどう使われるのか楽しみです。
アイランドの躯体ができました。
杉剥ぎ板とランバーコアの組み合わせです。
アイランドのパーティーシンクが来ました。
陶器かホーローで探しましたが国産ではちょうど良い商品がありませんでした。
サイズ的には唯一TOTOでホーローがありましたが形状が丸でイメージが違ったのと意外に高くて、こちらはステンレスです。
薄いですペラペラな感じ0.7mmですが作業する場所ではないのでOKです。
正面の棚は食器入れで引き戸が付きます。
背面キッチンの完成です。
床板が汚れているように見えますが、横田の米軍ハウスで使われていた60年以上前の床板を提供していただいたようです。
キッチン以外の床は杉で貼りますがキッチンだけは堅木で貼るようにお願いしました。
杉は柔らかくキャスターの使用はなかなか厳しい(経験上)
いろいろは人が関わっているので良いも悪いもバラエティー豊かな現場です。
背の低いキャスタ収納は炊飯器台、上にスライドの配膳テーブルがあります。奥にコンセントあり。
コンロの右側はフライパンや鍋入れで2段です。
シンク右側はサブの作業台にもなるように天板がある食器収納で、シンク側コンロ側両方から使えます。
コンロの左はコンロ側から使う調味料(比較的大きなビン類)一升瓶も入るサイズです。
厚さ1.0mmのステンレスの天板はガンガン使えそうです。
調理機器も無事納まり少し安堵。
メインのアイランドに使う山桜が工房に搬入されました。
今回天板の加工のみときがわ町の「季の木」の村田君にお願いしました。
躯体も含め一式お願いする方法もありますが今回は天板加工のみとして躯体は現場で大工さんが作ります。
この山桜はやく60mmあります。
これを仕上げて剥ぎ合わせて45mm厚に仕上げパーティーシンクを落とし込みます。
ステンレス天板のオーダーの仕方
製作はいつもお世話になっているステンレス加工工場にお願いします。
基本図面をこちらで作り、詳細をやり取りしながら施工図を工場で起こします。
コンロの開口等間違ってしまうと使い物にならなくなるのでこの辺りはかなり慎重に何度も確認して進みます。
この時にはコンロも、水栓金具も決まっていないといけません、水栓の穴あけ開口など穴径まで指示します。
シンクの細かな形状などは工場に型がある場合はそれを参考にしたりします。
今はダブルシンクのオーダが無いと言いながらも昔の型が残っているということで参考にさせていただきました。
みなさんに助けられています。
ステンレスはSUS304を指定します。
厚みは経験上1.0mmはほしいところ、メーカーキッチンでは0.6mm程度から1.0mmまで様々ですが、薄いからと言って弱いわけではなく、薄くても裏板補強板で強度はそれぞれ確保しています。
でも実際に比べてみると、普通は比べられないのでわかりませんがしっかり感は全然違います。ガンガン使うには1.0mm以上がいいでしょう。
ちなみにプロ用の厨房キッチンでは1.0mm~1.2mmほどを使います。
1.0mm以上は通常は使わないのでかなり割高になってしまいます。
図面承認してからは待つだけ、約3週間で出来上がります。
実際にオーダーで作ろうとする方にアドバイスです。
1.0mmでも裏板補強は入れておいた方がいいです。製作時に指示しておけば入れてくれます。
躯体への取り付けでも下地補強があるととても便利です。
パーチクルボードの15~18mm程度が後で納まりやすいです。
業務用などは1.0mmでも裏板は入れませんその代わりステンレスのリブ補強がされています。業務用は、水をかけられるのが前提で作るので補強もステンレスなのです。
また最近のステムキッチンを参考にしてシンク裏には防振材(ゴム板)を貼りこんでもらうことをお勧めします。シンクの水はねの音が各段に小さくなります。
これは現場で入れることもできるし、使ってみて気になるようなら下から追加することもできます。
図面のシンクの中の四角いところは裏へ防振材を指示した場所です。
トツプの仕上げは鏡面・へーライン・エンボス・バイブレーションなどがあります。
エンボスは意外に凸凹面に汚れが付くので私は嫌いですが、傷は一番わかりにくい。
お勧めはバイブレーション仕上げ、なんかプロっぽいですよ。
シンクの深さもオーダーなので使い勝手を考えて決めます。今回は少し深くしました。
オーバーフローは今回ダブルシンクなのでつけませんでしたがシングルではあったほうがいいでしょう。
基本図面完成です。
オリジナルキッチン図面公開です。
この図面で作れば他に無いキッチンができます。
仕様概要
メインのキッチン:L=3330mm D=700mm
ダブルシンクにダブル水栓(シャワー水栓)
天板はガンガン使えるようにステンレスで厚さ1.0m。
シンクの右側は50cmで複数の人が同時に使えるようにしています。
収納関係はほぼすべてキャスター式としました。
引き出せばワゴンになる形です。躯体は杉の剥ぎ合わせ板とランバーコアを使います。
調理器具はガスコンロにガスオーブンを装備です。
簡単なように感じるかもしれませんがシステムキッチンを買ってくるわけではなく現場で作るのでなかなか大変な仕事です。
メインのアイランドの天板は山桜を提案しました。
45mmとしてこちらもがっしりと酷使に耐える素材でありながらも里山のやさしさを現したいと思います。
出ました!明治の証
和釘
この釘が使われたのはほぼ100年前まで、それ以降急速に洋釘にとって代わられました。
和釘の特徴は四角釘であること、対して洋釘は大量生産しやすい丸釘、現在普通に使われている釘も丸くぎです。
和釘は1本1本鍛冶屋が鉄を叩き仕上げるので角型なのです。
現在では茶室や文化財の修復などごく限られたところで使われています。
写真の引手付き上がり框を含めこの土間は床が張られ完全に塞がれていました。
土間の復活です。
上がり框はケヤキが使われています。腐食している床板をはがしたら和釘が出てきました。
所有者の方も現場の方も釘で年代がある程度分かるということに驚くとともに、改めて建物の歴史を感じておられました。
ここのメインはキッチンです。
小川町は有機の里としても有名なところです、その素材を使い里山のおいしさを伝えることが目的です。
料理教室も開催し、講師は料理研究家林先生です。
全体的なとりまとめはコムロ企画の小室君です。
先生の希望はまづは里山に相応しいキッチンというそれだけ、「設計者ではないので基本図面ができたら意見を言います。」とある程度任せていただきました。
今日は基本図ができたので現場で1回目の打ち合わせ、先生とはメールなどでのやり取りです。
現場打ち合わせは電気屋さん大工さん現場進行担当さんにボランティアの方々など、
請負者がいないのでみんなで集まらないと情報が伝わらない。意外に難しいぞ!この現場。
キッチン土間回りは新建材がはがされ、古いキッチンが撤去されました。
キッチン床は使用に耐えない状況でしたので有志の方々で補強がなされていました。