「秋に木を伐り、冬に皮を剥き、夏に家をささえる」
埼玉県川越市で完成しました。
ほぼ全ての木材を地域の材でまかない、昔から使われてきた安心できる材料の杉、漆喰、和紙で仕上げたシンプルな木の家です。
お父さんと暮らす2世帯住宅土間のある家です。
玄関土間を大きく取ることにより柔らかく世帯を分けていますが、水廻りでは動線がつながります。
2世帯の場合に一番気を付けたいのが生活時間帯の違いですが、完全に分離する必要はありません、柔らかくつながる。そんな工夫が必要です。
シンプルな木の家は色味が少ないのが特徴です。
木の色と漆喰和紙の白い色、アクセントになるのは照明やカーテンです。
インテリア的に建物自体は主張しない。
シンプルな木の家の基本です。
キッチンとダイニングとの関係性
現在、キッチンの場所は完全に自由になり、表舞台に顔を出しています。
リビングと一体となり日本独特の空間に発展しようとしています。
リビングと一体になったキッチン計画で大切なことは、「ダイニングとの関係性」と「裏方との関係性」です。
「ダイニングとの関係性」は言うなれば表の顔です。ダイニングを介してパブリッック性のあるリビングにつながります。
この場合のダイニングは、食事をするためだけのスペースではなく、たくさんの機能が求められます。
お母さんが家事をする機能
子供が宿題をする機能
お茶を飲みくつろぐ機能
家事用品を収納する機能
など沢山の機能が必要で、このことを考えておかないとリビングにしわ寄せが来ることになります。
「裏方との関係性」は水廻り、勝手口、洗濯、洗面、食品庫、ごみ置きなどプライベートな場所との関係性です。
表側に向かうパブリック性のある機能と、裏方がふさわしいプライベートな部分との連絡性「関係性」をよく整理しておくことが使いやすいキッチンの第一歩です。
キッチンは他の部屋と違い独立して便利な空間にはなりえないということをよく理解していないと使いやすいキッチンはできません。
ただシステムキッチンを置けばいい。
それは違います。
流れを考えながらのプランニングが大切です。
リビングで大切な事は交通整理
どの部屋の中にも通路に当たる部分があります。
通路とは判り易く言えばドアの前、だれでも通る通路に当たります。
リビングは家族みんなが動きますので個室以上に通路部分の位置は大切な要素になります、動きやすい、動いたときにほかの人の邪魔にならない通路部分の設定は大切です。
プランニング段階で何度も何度も暮らし方をシュミレーションしてみるとだんだん整理されてくるものです。
廊下のないリビング中心の間取りでは、リビングから階段、リビングから洗面やトイレ、リビングからキッチン、玄関ホールなどいくつものスペースにアクセスしています。
快適なリビングは上手な交通整理から生まれます。
間取りのコラム:ダイニングは多機能
アイランドキッチンになりました。
アイランドの良さはどこからでも手が出せること。
お手伝いの手がどこからでも伸びてきます。
反面リビングの配置によっては丸見えになります。
アイランドを検討する場合はリビングとの関係性から考えていく、プランニング段階から検討することが大切です。
リビングはお客様やお友達も招きますね。
ある程度パブリック性がリビングには求められます。
それを承知のうえであえてオープンを選択するのか、それともダイニングまでは開放するがリビングとは視覚的に距離をおくのか、暮らし方を考えながらのプランニングが大切です。
また注意しなければいけないのがコンロの位置
ダイニングに向かいオープンなコンロは調理の匂いはもとより油の飛び跳ねなどでダイニングが汚れることは必至です。
出来ればコンロは分離して背面に置くか、コンロ前は壁というスタイルがよいでしょう。
間取りのコラム:キッチンに自由を
ロフトも楽しい
平面的な配置だけでなくロフトを用意してあげると、小さなときは遊び場として、大きくなれば収納として活躍してくれます。
四角い箱の中で過ごすより、開放感があり、楽しい空間になります。
収納には扉が必要ですか
収納も子供たちが小さなうちは、主におもちゃなどが入れられます。
自分で片づけて整理する習慣をつけてもらうために、当初は扉を付けなくてもよいと思います。
棚だけ付けて、何がどこにあるか一目でわかるようにする。しまい込み目隠しをするのではなく、整理して片づける習慣の助けになると考えています。
これも「住まいが子供にできること」なのだと思いますし、親が(設計者が)考えてあげることなのです。
間取りのコラム:住まいが子供にできること
洗面の収納
洗面にも収納は必要です。小物がたくさんありますね。
特に女性が多い家庭では大変な数になります。化粧台として寝室や別の場所にスペースがある場合はまだよいのですが、洗面所ですべてまかなおうとすると小物の置き場所から、複数のドライアーの収納場所なども考えなければいけません。
当然歯磨きやコップなど必ず使うものをどこに置くのかも機能的に考えなければいけません。
このように洗面所は沢山の機能とたくさんの物であふれてしまいます。
それぞれを機能で分けて考え使いやすい収納をつくることが大切ですね。
引き出しや扉が無くても使いやすい収納はできます。
じっくり考えて計画しましょう。
間取りのコラム:洗面所を考える
建設地 : 埼玉県 川越市 石原町
木 材 : ときがわ木材 ときがわ町田中409 代表田中進 0493-65-4770
構造 : 在来軸組み
外部仕上げ : 屋根/ガルバリウム鋼板(通気工法) 壁/モルタル下地リシン吹付(通気工法)
内部仕上げ : 天井/土佐和紙&杉板 壁/漆喰ローラー仕上げ&杉板
床/杉板30mm
構造材 : ほぼ全て地域材にて調達(ときがわ町山林)
柱/杉&桧 土台/桧 梁/杉&桧
建物規模 : 敷地面積/142.51㎡ 延べ床面積/112.61/㎡
建築面積/75.49/㎡ 1F床面積/67.90㎡ 2F床面積44.71/㎡ 吹き抜け3.31㎡
設計期間 :2012.7.15~2012.12.31(地鎮祭) 約6.0月
工事期間 :2013 1月31日(地鎮祭) ~ 2013 8月12日(引渡し) 約7.0月
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