家族みんなが集まり、来客も迎え入れる暮らしの真ん中、家の中で一番居心地がいい場所にしたいですね。
かつては客間や茶の間として家族の場所と、来客の場は分離されてきました。
これからのリビングのあり方は暮らしとどうかかわるのでしょうか。
茶の間
日本では家族がくつろぐ場所を古くから茶の間と呼び、客間とは別にしつらえてきました。客間がハレの場であり、茶の間はケであり、日常と非日常が分けられてきました。
リビング
今でいう家族がくつろぎ、来客も迎い入れるリビング(居間)が庶民の家につくられる様になったのは昭和に入ってからなので、意外にその歴史は浅いのです。
ただし当初は、戦後までは主に来客を迎え入れる場としてつくられてきました。
快適なリビングにするためにはどうしたらいいでしょう。
少し整理してみたいと思います。
リビングに求められる機能から考えてみました。
住まいの間取りの中でもリビングほどたくさんの機能が求められる場所はありません。
リビングというキーワードからは「だんらん」「くつろぎ」などが思い浮かぶと思います。
お茶を飲みながらおしゃべりしたり、新聞や本を読んだり、明日の話をしたり、寝転んでTVをみたり、昼寝したり、友達をよんでお酒を飲んだり、人によってそれぞれ、リビングでやりたいことはたくさん思い浮かぶと思います。
このたくさん思い浮かぶというのがポイントなのです。
家族それぞれがやりたいことがあり、それぞれが違う楽しみ方がある。
現代の暮らしは価値観が多様化しそれは夫婦、親子であっても同じことです。
リビングに求められる性質も一昔前とは変わりました。
私が子供の頃などは、食事をしたらみんなで同じTVを観る。
そんな過ごし方でした。今はどうでしょう。
新聞を読むお父さん、TVを観るお母さん、メールをする長女、
宿題をやる次女、ご飯をくれと騒ぐネコ、私の家のリビングの様子ですが、同じ場所、同じ空間にいてもそれぞれ勝手なことをしています。
「ソファーとテーブルセットをまず置いて」などと考えてはいけません。
その前に自分たちはリビングに何を求めるのか考えてみましょう。
子供たちが勉強できるスペースや、お母さんの家事机、みんなで使える本棚、コレクションを飾る場所,趣味のスペースを用意するのもいいですね。自分たちがすごしやすい、そこにいたいと思う仕掛けを考えてみましょう。
趣味を活かすための土間や、書庫のようなリビングだっていいのです。
大事なのは家族それぞれが疎外感を感じること無く、楽ににいられるかどうか
みんなの事を包み込める包容力のある空間を目指しましょう。
そしてもう一つ大切なのは、来客を迎え入れるということです。
リビングに迎え入れる来客への対応はそれぞれの家族で考え方が違うと思いますが、私は改まって迎え入れるよりも、我が家の日常に気軽に迎え入れたいと考えています。
また設計としてかかわる方にもそのような暮らしを提案しています。
失礼なのかもしれませんが、我が家ではスリッパも出しませんし、上品なソファーもありません。
そのかわり素足でも気持ちいい無垢の床板の感触を楽しんでもらおうと考えています。
家具や調度品の豪華さや一般的には、という発想ではなく、住む人のこだわりが感じられるリビングのほうが、来客もくつろげて楽しいのではないかと考えています。
写真は川越優の家リビング