押入れ環境を考えて健康な暮らし
住まいのプランニングで収納を考えないことはありませんね。
概ね床面積の10%~15%程度取るとよいと言われます。
40坪の住まいであれば4坪以上、つまり8畳分に相当します。もちろん各所に分散するのですが意外に大きな面積となります。
プランニングでは建て主のみなさんも収納に関しては大いに関心があり、積極的な話題となります。
今回のテーマは収納量では無く収納のつくり方に焦点を当ててみます。
特に日常で使う衣類や布団などを収納するクローゼットや押入れなどを考えてみます。
収納量は確かに大切ですが黴が生えたりしない、湿気が籠ったりしないつくり方も大切です。
日常身に着ける衣類や、布団で寝る場合の寝具には湿気が伴います。
また適度な湿気と付着した皮脂や有機物などの養分を目当てにダニが発生することもあります。
これらの問題は常に起こり得ます。
予防策を考えてみましょう。
防虫剤を使う。
乾燥材を使う。
それぞれ有効な手段ですが、新築であれば、リフォームであれば、つくり方次第でかなり予防することが出来ます。
押入れ自体を衣類や寝具の乾燥を促すつくりとすること、また黴の基になる菌類の発生を抑制する素材でつくることです。
みなさん収納の大切さには気が付いてもなかなかつくり方までは考えが及ばないものです。
また施工側も押入れや収納はこんなものという常識に縛られ、本当は何がいいのか、ということまで考えが至らないのが現状です。
いざ使い始めると乾燥材を置かないと使えないであるとかの問題が生じてしまいます。
健康的な押入れ環境をつくりましょう。
床(棚):押し入れなどの中段などはスノコとしましょう。
スノコの素材は杉板の15mm程度 板と板の隙間は15mm程度取りましょう。
杉板は導管が多く、柔らかな素材ですが沢山の湿気を吸収し、乾燥すれば放出してくれます。
隙間をつくることで衣類や布団は空気に触れる面が増え、乾燥が促されます。
壁:①壁も湿気を考えるのであれば杉板がお勧めです。
毎日の布団の収納であれば収納物の中でも一番湿気が多いので壁面もスノコを建てかけておくと。布団と壁の間にも空気層が取れ、さらに乾燥が促されます。
吸湿しない新建材やビニールクロスの押入れでも床壁をスノコ状にすればかなり乾燥が促されますので湿気でお困りの方はお試しください。
壁:②杉板より湿気に対しての吸収能力は落ちますが漆喰壁も押入れにはふさわしい素材です。
漆喰は強いアルカリ性であるため菌類やカビの発生をかなり抑えてくれます。
本格的な漆喰でなくとも、簡易的な石膏ボードの上にローラーや刷毛で塗るような漆喰でも効果はあります。
また真っ白な壁の押し入れや収納は見た目も清潔感があり、明るくていいものです。
珪藻土などは湿気を吸収するという面では良いのですが、衣類や布団に日常的に接触すると表面が摩耗してしまうので注意が必要です。
杉板に漆喰の押し入れや収納は今では珍しいかもしれませんが、昔で言えば当たり前のつくりなのです。
今の新しい素材と比較してもより健康に良い物は昔からあるのです。
今の素材を否定するのではなく良い物は残していきたいですね。