ウールの原材料は主にオーストラリアやニュージーランドのウールカーペット工場の端材が使われているようです。
100%ピュアから化学繊維混入・リサイクルウールも有ります。
ピュアウールとは言っても難燃剤・防虫剤としてホウ酸系薬品が使われています。
ホウ酸の目的は難燃性を持たせることと防虫です。
ホウ酸系薬剤は木質繊維系ウッドファイバーなどにも使用されています。
ホウ酸は比較的安全な薬剤で飛散や蒸発することが無く建物内の空気を汚染することが無いと言われ、摂取しても人に対しては微毒なので食品保存剤として、マーガリン・ハム・ベーコンなどにも使用されているということです。
もちろん積極的に体内に入れる物ではありませんが比較的安全ということです。
断熱材に使われるウールは全て輸入品で国産率はゼロです。
国産化率100%(エコール)と表示している製品もありますが、製品としての国産率であり、素材の生産国では有りません。
ウール断熱は自然素材系住宅ではセルロースファイバーに次ぐ使用率です。
コスト的にはセルロースファイバーの方がローコストのようです。
施工は専用機械や専門職では無く、現場の大工さんが施工でき施工性は良好です。
ウール繊維はバージンウール100%からバージンウールを減らしポリエステル繊維を混入したものからリサイクルウールを使用し同じくポリエステル繊維を混入したものなどがあります。
ウール率は20%程度から100%までさまざまあります。
ローコストのものではリサイクルウールを接着剤で張り合わせたものもあるようですので接着剤に何が使われているか注意が必要です。
リサイクルウールとピュアウールの断熱性能はほぼ同程度ですが他の繊維を混入した製品では混入率に応じて性能は低下するのが一般的です。
ピュアウールである必要はありませんがせっかくの自然素材なので何が混入されているのかは成分表で確認しましょう。
また、自然素材ということで選択されるのであれば最低限安全データシートが用意されている製品を選定し成分を確認しましょう。
シックハウス対策
100%ウール。リサイクルウールでは自然素材として規制対象外です。
「ウールブレス」安全データシート
原材料
セルロースはリサイクル新聞紙や段ボールを粉々に粉砕した紙が原料です。
紙は周知の通り木質繊維です。すべて国産の木質とは限りませんが自然素材のリサイクルということで循環型の資源です。
製造に関しても熱や水を使わないということでとても低エネルギーで製造できるようです。
当然新聞であればインクが混入されます。自然素材にこだわるのであれば植物性インクを使用した新聞のリサイクル品だけの商品もありますのでそのようなものを採用したいところです。
また、折り込みチラシや新聞以外の成分が混入していないのかどうか、気になるところですので少なくとも成分表は確認してから採用しましょう。
難燃剤・防虫剤としてホウ酸系薬品が使われています。
撥水剤として油脂化合物が全体の数%混入されているようです。
また、メーカーによっては将来的な沈下(壁などで自重で沈み上部に隙間が出来ること)を防止するため化学繊維を混入しているところもあります。
将来的にも性能を維持しようという目的ですので自然素材に拘りながらも許容できる製品だとは思いますがやはりその量は気になるところです。
沈下防止という観点では、吹き込む圧力を上げ(たくさん詰め込む)ことにより沈下を防止するという施工方法もあります。
一定以上の圧力を超えると壁がはらむ(膨らむ)傾向があり施工性の問題が出てきますが、化学繊維を混入せずともある程度沈下防止はできるようです。
施工性はウールより劣り、専用機械と専門技術が必要になります。
そのため作業効率を優先するハウスメーカーで採用しているところはあまりありません。
施工方法は、専用機械を使い、あらかじめシートで囲った天井面、壁面に吹き込んでいきます。
吹き込み密度が適正でないと後々の沈下の可能性があり、壁の中上部に隙間が生じる恐れがあるため、規定の吹き込密度の管理が重要です。
吹き込みなので断熱材がこぼれないように囲う必要があり、シートはビニール以外では透湿シートを使用している施工店もあります、こちらの方が素材の性能(吸湿放湿)を引き出してくれるのでお勧めです。
古紙リサイクルということでエコロジーな商品であることは確かですし、石油系断熱材に比べればその製造エネルギーは極端に少ないものです。
ひとにやさしい自然素材の家は猫と暮らす住まい 犬と暮らす住まい 等動物と暮らすすまいにも最適です。
「セルロースファイバー工業会」安全データシート
シックハウス対策
シックハウス規制対象外の製品がほとんどです。
厚さ100mmでの性能比較
熱伝導率 (数字が小さい方が熱を伝えにくい)
エコール ピュア100%(バージンウール100%) 0.035w/mk
ウールブレス V100(バージンウール70%+リサイクルポリエステル30%)0.040w/mk
日本製紙スーパージェットファイバー :施工密度55~60kg/㎥=0.038~0.04w/mk
※ウールは化学繊維の割合が増えるほど断熱性能は一般的に低下するようです。
熱抵抗値100mmの場合 (数字が大きい方が熱を伝えにくい)
ウール100%:100mm=2.8w/mk(エコールピュア100%ウール)
混入ウール :100mm=2.5w/mk(バージンウール70%+リサイクルポリエステル30%)
セルロース:100mm=2.6~2.5w/mk スーパージェットファイバー
製品値段の比較 (100mmの厚さでの単価です。)
次世代省エネ2.2熱抵抗値が得られる厚さに変換した価格です。
ウール100%:熱抵抗2.2=73mm 1.620/㎡(バージン100%) (製品値段)
混入ウール :熱抵抗2.2=110mm1.700/㎡(リサイクル80+ポリエステ20%) (製品値段)
セルロース :熱抵抗2.2=75mm 1.500/㎡(施工費含む)
※セルロースファイバーに関しては施工費用を含んでの金額となるので単純に比較ができませんでしたが施工まで考えるとセルロースファイバーの方が同じ断熱性能を求める場合に低価格となるようです。
価格差
100%ピュアウール断熱と施工密度55kg程度のセルロースファイバーの比較では熱の伝えにくさでは若干ウールに分がある。
熱抵抗値で比較しても若干ウールが優れ、同じ厚みではウールの方が暖かいと言える。
価格比較では次世代省エネ基準を得る(壁)厚みの単価ではウールの方が10%ほど高いが、セルロースファイバーは材料のみでは無く、施工単価も含まれているため単純には比較できず、ウールにはこの金額に施工単価を加味しなければならない事を考えると多少の性能差ではセルロースファイバーのパフォーマンスが高い。
施工性
施工性で見ると、ウールは大工さんが施工し、グラスウールを入れ慣れている大工さんならば問題なく施工できる。
隙間や充填不足など施工の良し悪しが目視で確認できるため安心感はある。
セルロースの場合は専門職という事になるので信頼することができると思うが、技術を証明するものがほしい、また、吹き込み密度による沈下などに注意が必要である。
特別な機器や技術が必要ないという面ではウールの施工性は安心できる。
壁内結露
どちらとも自然素材を利用した優れた断熱材であり、吸湿や放湿の性能を持ち、木軸部分との相性も良い、採用するに当たってはその特性を理解し、壁の中に侵入した水蒸気を上手に屋外には排出する手法が必要である。
外部にべニアを施工する工法では壁内の水蒸気の放出が妨げられ、北面の冬期では壁内結露の危険が大きくなるため屋内での防湿処理が望ましい。
注意
〇ウールの場合は化学繊維混合からリサイクル率の高いものまである。当然金額も違えば、性能も違う。
ただただウールがいいということでは無く、なぜウールを使うのかということを整理して使わないともったいない。
〇セルロースは施工の良し悪しで沈下などが起こる可能性があり、施工者選びを慎重に行いたい。やはり慣れている施工者が安心といえる。
※ウールは比較的単純な断熱素材だけれどもセルロースの場合は国産品から輸入品からあり、メーカーも独自性があるので一般的な比較をしました。
ピュアウール100% 東大宮野の花
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