床板の厚みによる違いについてとその使い方
今回は針葉樹の杉,桧についてのお話で、広葉樹の床板についてはまた少し話が違うのでいつかお話ししたいと思います。
写真は杉の床板3種類 15mm 30mm 40mm
床板用として製材されたもので、長手方向にある溝と出っ張りは本実加工といい同じ板厚同士をはめ込むようになっています。
先ずは15mmの床板から
12mmや9mmという床板もありますができれば15mm以上をお勧めします。
理由は素材の良さ、踏み心地や暖かさが感じれ難く、せっかくの素材の良さが伝わりません、壁や天井のように直接触れることが少ない場所はよいのですが直接肌に触れる床にはある程度厚みがほしいところです。
9mmや12mm、15mmでは板単体のたわみが大きく一枚では使うためには下地を強くしなければならず、普通は下地に合板を張ります。
合板はスライスした板を接着剤で貼り合わせているので薄くてもとても強く、そして堅いです。
そのように合板下地で施工された12mm以下の床板では踏んだ感触がどうしても合板の堅さが勝ってしまい踏み心地がよくありません。
ただ普通はほかの床材と比較はできないので気になることは無いとも思いますが、よく知っているこちらとしては出来るだけ良い選択をしていただきたいと思います。
15mmの厚みであれば下地合板無しでも張れます。
ただ材としての保温性や蓄熱性、たわみを考えるとできれば下地がほしいところですが、15mmあれば下地合板を使っても板そのものの暖かさや柔らかさが体感出来て踏み心地が格段に良くなります。
更に良い踏み心地にするには下地にも杉板の12か15mmを張り、無垢材で2重張りとすることです。
各段に良い感触になり、蓄熱性や保温性も30mmと使った時と同じようになります。
床の堅さは30㎜単体よりも重ね張りをした方が堅いしっかりした印象になりますが決して不快ではなく心地よいです。
さて30mm
ベストバランスの30mm床板
下地を入れなくても十分な強度があり、蓄熱性保温性があり踏み心地も柔らかいながらも安定感がありいい感じです。
15mmの重ね張りよりも柔らかな感じになります。
次は40mm
40mmあると床を受ける根太の間隔も広くでき下地部材そのものも少なくできるぐらいの強度があります。
床上受けの根太間隔が同じ場合30㎜よりも少し硬く感じます。
もう少し柔らかいほうがいいかなという感じもありますが踏み心地では甲乙つけがたいというところです。
床板の狂い(寸法の変化)について比べると
無垢の床板は季節の変化で縮んだり伸びたり反ったりします。
本実の實が見えるくらい大きいときは10円玉立つぐらい隙間が空きます。
この現象は材の厚みが増すほど大きくなります。
下張りを入れた15mmであれば空いても1mm程度、一番狂いの少ない安定した張り方になります。
対して40mmでは材そのものの力が大きく、釘やビスで留めていてもその固定力を超えて材が動き、本実部で5mm程度の隙間が出ることもよくあります。
これらの現象は欠陥では無く、季節や室内環境により材が湿気を吸収したり放出したりすることでおこります。
冬は隙間ができて梅雨時から秋口まではぴったりと隙間はありません。
厚い板ほどこの吸放出の水分量が多いため狂いの幅も大きくなります。
この弊害としては季節ごとに動きを繰り返すため釘やビス、接着剤の固定力が弱まり、
床を踏むとギシギシ鳴る床なりという現象につながります。
これは修繕で治すこともできますので大きな問題ではありませんが厚板を使うときには事前に隙間が空くこと床なりがすることを知っておくべきだと思います。
まとめ
踏み心地がよく暖かく素材の質感が伝わり比較的狂いの少ないのは30mm程度
針葉樹杉・檜の床板であれば下地のない30㎜程度がベストバランスです。
床暖房を施工したり、広葉樹の床板を使う場合はまた少し事情が変わります。