アーキクラフトが考えるエコ住宅のつくり方
☆エネルギーを出来るだけ使わない暮らし方が出来る家
○ 省エネ設備機器の搭載
太陽光発電を搭載し、エネルギーを出来るだけ自給するのは正しい選択です。また、余剰電力を蓄電や買取により有効に利用するのも脱原発に沿った考えで正しい選択だと思います。
コストをかけた住宅設備機器(省エネ設備)にはさらにランニングコストが掛かることをよく理解して使いましょう。
○ パッシブデザインの大切さ
その住宅設備機器を有効に活用するためには、建物の良好な性能が求められます。
まず大切なのが「エネルギーを出来るだけ使わない暮らし方が出来る家」を考えることから始めましょう。
建物外部では太陽高度を理解した上での軒の出や庇の配置から、緑のカーテンなどが有効です。
建物の外周部では壁・屋根の過熱を防ぎ輻射熱を抑える通気工法も有効です。
内部に関して一番大切なのは、開放性のある間取りと通風と気流を促す窓計画です。そのうえで内装の
素材にも着目しましょう。
汗をかいているときにビニール素材が肌に触れるとピタッと張り付き不快です。同じことを和紙でやってみたらどうでしょうか、それほど不快ではないと思います。
私たちは自然にそのようなことは学んでいます。
石油製品・化学製品で作られた内装材の家に暮らすよりは自然素材に囲まれたほうが快適に暮らせそうです。
合板ではない無垢材はすぐれた吸放湿性能があります。無垢の床板の上では汗をかいていてもさらっと感じるはずですし、寒い冬も合板の床よりも温かく感じます。
さらに天井や壁もが同じような機能を持てばさらに快適性は向上します。
もちろん断熱性能は重要です。
埼玉であっても基本的に次世代省エネ基準で次世代においてもスタンダードな性能を確保しておくことが求められていると考えています。
そのようにまず、機械ありきではなく、建物の基本性能を上げ、いつ省エネ設備を搭載しても有効に活用できる環境をつくることが大切だと考えます。
省エネ設備の耐用年数は10年から15年ですが建物の性能寿命は次世代を考えてのものですから建物の性能をまず確保しましょう。
○ 参考データ
参考までに2011年に引き渡した平屋の住宅の7月のデータを添付します。
省エネ設備機器は搭載していません。
この夏は扇風機もほとんど必要が無く、エアコンは家にありません。
小高い丘の上で風も抜ける土地に立地していますので、立地と暮らし方により通常では考えられないくらい良いデータが出てしまっているようです。
都市部ではかなり割り引いて考える必要があると思いますが、一つの参考にはなると思います。
○ 検証の必要性
設計した建物が予定通りの性能を満たしているかは設計者にとって大きな関心ごとです、しかしこの手の検証は住まい手にゆだねる部分が多く負担を求めることにもなります。
また、結果が思わしくないときのことを考えると、設計側としても二の足を踏んでしまいます。
ですが検証をすることで改善もでき、暮らし方に問題がある場合も改善することによって快適に暮らせるかもしれません。
思いもしない暮らし方がなされているかもしれません。検証結果をもとに住まい手と話し合い、建物のポテンシャルを引き出す住まい方をしていただくのもよい結果につながると思います。
設計側にとっては検証と改善が繰り返せることは設定の精度を高めることにつながります。