植物性塗料(自然派塗料)の比較です。
無垢材を扱う仕事がら木材に使う塗料についてよく質問をお受けします。
「せっかくの無垢材なので無垢材に相応しい塗装をしたいが、何がいいの」
というご質問です。
塗装は素材の保護や汚れ防止、均一な色目にする、光沢を出したい、など様々な目的がありますが塗料を選ぶ際には目的、保護なのか着色なのか両方求めるのかなどを明確にすることが大切です。
今回は室内の塗装について植物性塗料のメジャーどころの商品を勝手に評価してみたいと思います。
自然素材には自然素材を選びたいところです。
一番大切なことは木材の持つ性能を阻害しない物を選ぶことです。
保護という観点からは表面に強い膜をつくるウレタン塗料などが優れていますが、せっかくある木材の吸湿放湿性能や暖かさが失われてしまいます。
住まいに使うのであれば多少に傷は覚悟のうえで表面に膜を張らない浸透性の塗料を選び素材の良さを生かしましょう。
また、塗装しない「すっぴん」というのも是非選択肢の中に入れて頂きたいところですが
今回は塗装をする前提で比較開始です。
色原料 : 顔料として鉱物顔料として酸化鉄(黄・赤・黒)と有機性粘土が使われています。
バインダー : 再生可能な植物油(ひまわり油、大豆油、アザミ油)
ワックス成分 : 植物由来(カルナバワックス、カンデリラワックス)
溶剤 : 脂肪族炭化水素―脱芳香族化した白色ミネラルオイル(ベンゾールは含まず)有害物質を医薬品レベルまで取り除いた流動パラフィン(石油由来)
オスモカラー(フロアーカラー)は防虫防腐剤を一切含まず乾燥して表面は人体動物に安全でヨーロッパの玩具安全基準をクリアーしています。
2:リボス(カルデッド)
色原料 : 顔料として土壌鉱物顔料(無毒)
バインダー :植物油(亜麻仁油・オレンジピールオイル・アルミナ)
ワックス成分 : 石油由来(マイクロワックス)
溶剤 :イソアリファーテ(石油由来)
3:アウロ
色原料 : 無機顔料(酸化チタン、珪土、コバルト、ジルコニウム)
バインダー :植物油(有機栽培亜麻仁油・オレンジオイル・植物由来ダマール樹脂・昆虫由来セラック)
ワックス成分 : 植物由来(カルナバワックス)
溶剤 :植物由来ユーカリ油 オレンジシトラール
植物性(自然塗料)と言われるメジャーどころはこの3社
いずれもドイツの塗料メーカーです。
3社の製品はどれも浸透性で亜麻仁油やひまわり油など植物性の原料が使われ、木材との相性も良く、木部に深く浸透し、木の質感を残しながら着色や表面保護が可能になります。
オスモカラー
一番手軽に手に入くホームセンターなどでも販売しています。自然塗料の中では一番普及しています。オスモだけがひまわり油を使用しています。
成分全てが自然素材では無く溶剤として使われている流動パラフィンは調べてみると石油由来の物質ですがVOCは未指定でシックハウスを引き起こす可能性は無いと言っています。
また自然素材であってもアレルギー反応を引き起こす可能性があり、人の健康に及ぼさないアレルギー反応の少ない原料を使用しています。とも言っています。
リボス
亜麻仁油を主成分としています。
オスモと同じく木部との相性はよく深く浸透し着色保護が可能となります。
こちらもすべてが自然素材では無く、イソアリファーテという石油由来の溶剤を使っています。
オスモと同じく成分選定には主張があります。
「健康に害のある成分は天然成分でも使用はしない」がコンセプトということで、安全性が高ければ化学物質も使用するというスタンスのようです。
アウロ
こちらもリボスと同じく亜麻仁油が主成分ですが有機栽培亜麻仁油と原料の育て方まで契約農家での有機栽培とこだわりが見えます。
アウロだけが原料の100%が天然成分です。
廃棄してもそのまま堆肥にできる塗料で減量の栽培から農薬や化学肥料を使用しないという徹底ぶりです。
ここが違う
このように比較してくると3社ともこだわりが感じられます。
大きな違いは自然素材100%を望むならアウロ
化学物質も安全な範囲であれば許容するという合理的な考えがオスモとリボス
着色するのであればオスモが選択肢が多い
手に入り易さではオスモ
特にアレルギーが気になる方は実際にサンプルを試してみてから決めることをお勧めします。
メーカーサイトでご確認ください。