意外に低い耐震意識
家づくりにおいてこだわりの部分があるのは良いことで、予算のメリハリも付けやすくなります。
いろいろなこだわりのある中で意外に低いのは、耐震性能です。
これだけ地震の被害にあいながらもなぜか、住宅設備のほうに関心がある方が多いようです。住宅設備は交換できますが、耐震性を後からあげるのはとても大変なことなのです。
「構造のことはよくわからないので専門家にお任せします。」
よく聞かれそうな言葉ですが、どのように任せするのか明確にし、どのような強度になるのか関心を持たないとよくありません。
まずその専門家は本当に専門家なのでしょうか。耐震についてどのような考え方を持っているのでしょうか。
「耐震についてはどう考えていますか」と聞いてみましょう。
聞いても判らないではなく、専門家であれば素人の方にもわかりやすく説明してくれるはずです。
それが出来なければその方は専門家とは言えません。
「お任せします。」と任された専門家は、建築基準法をクリアーする強度(耐震等級1)を考えるかもしれません。
また、2等級.3等級を考えるかもしれませんが、普通はアップチャージ(金額)の話が出てくるはずです。
出てこなければまず間違いなく、耐震等級は1でしょう。
耐震等級1をクリアーしてあれば法的に問題はありません。
しかも震災を受け建物が倒壊しても「想定外の外力を受けた」との回答で法的責任は逃れられます。なぜ倒れたかの検証は困難なのです。
施工者は一般的に他社よりも少しでも安く表示し、顧客の関心を引こうとします。また建て主側も当然のようにリーズナブルなものを求めます。
つまり、特別建て主側がリクエストをしない限り、法律の範疇でできる限り安くしようとするものです。
「構造は専門家にお任せしますから安くしてください。」は「最低で結構です。」と言っているのと同じことです。
耐震基準の等級を認定取得している住宅は戸建て住宅着工件数全体の20%程度のようです。このデータには、ハウスメーカーも含まれていますので、一般の工務店、ビルダーに至っては耐震等級のリクエストをしない限り、または2等級、3等級をはじめから歌っていない限り等級は1であると理解して間違いないでしょう。
これからの住宅は世代を引き継ぐ使い方が求められます。大地震に遭遇する確率も増えます。
今までの住宅のように25年で壊すという間違った考えでない限り、耐震性能は上げるべきであると考えています。
構造も専門家に任せず、しっかりと要求するべきです。等級のレベルがわからなければその説明を求め、永く使うのだということを、大きな地震にも安心できるようにとリクエストをするべきです。
アーキクラフトで設計する建物は特別なリクエストが無い限り耐震等級2(基準法の1.25倍)としています。
リクエストにより通し貫工法や構造用合板等を全く使用しない施工方法を選択する場合、その間取りによっては耐震等級2が取得できない場合もありますがその場合でも壁剛性・床剛性・偏心率など全体のバランスを取りながら最大限強度を上げていきます。
ただ残念なことですが耐震等級3(基準法の1.5倍)は構造用合板で固める家づくりになり、間取りの可変性も大きく制限されてしまい、アーキクラフトの家づくりのコンセプトとそぐわないため現状では積極的には取り組んでおりません。
また、長期優良住宅の認定を取得することをお勧めしています。
耐震等級は2以上が必要になり、省エネ等級は4(次世代省エネ基準)さらに配管等の可変性能が求められ永く使うには安心できます。
手数料は掛かりますが、取得税の減税処置やローン減税もあります。
手数料に対してメリットがあるかどうかよく考えて選択しましょう。