家づくり 流行に惑わされないで
住いを性能値で選ぶ方も増えてきました、自然素材の家であっても客観的に数値で暮らしやすさを表すことは今後必要なことだと思います。
住まいづくりを思い立ち、家の性能について学び始めると、高気密や高断熱や、Q値やC値などに目が行きがちになります。
大手ハウスメーカーや工務店のフランチャイズグループなども自分たちの工法がベストと宣伝し、ユーザーの選択肢を狭めようとしています。
また、自然素材や、伝統工法に拘ることもいいとは思いますが、だからと言って生涯安全で安心できる暮らしが出来るとは限りません。
外張り断熱と充填断熱でどちらが優れているか、グラスウールやセルロースファイバーなど、どの断熱材がベストであるのかなど多くの勉強熱心なユーザーを惑わします。
省エネに住まうことは大切なことですが、住まいの性能ばかりに注目すると大切なことを忘れがちです。
工法と性能値で選ぶ家が、居住性、可変性、などに優れているとは限りません、無機質な家かもしれません。
性能数値を上げることで他社に対して優位に立つという経営の仕方は確かにありだと思いますが、選ぶ側はそれだけではいけません。
よりパッシブであること、より可変性があり生活の変化に対応できること、なによりも快適に楽しく健康に暮らせるかどうか、そこが肝心です。
数値競争に勝ち選択されるのであれば、デザインや間取り、住み心地は二の次というメーカーも実際にあります。
住まい手は生涯に渡って暮らすのですから今の流行にばかり惑わされてはいけないのです。
文化としての伝統工法を継承していくことは大切なことです。
また、土に帰るサイクルの材料を多用し家をつくることもエコロジーの観点からは望ましいことです。
ただ、伝統を継承し、技術にこだわり、無垢材にこだわるあまり、つくりて側がそのことだけを目的とするあまり、ほかの大切なことを忘れてしまいがちです。
「伝統工法だから土壁だ」、では土壁の断熱性能はいいのか、「否」です。
「昔から多少の隙間はいいのだ」、そういうつくり方だ。これも「否」です。
工法に拘るあまり、バリアフリーや木造本来の美しさや、省エネについて無関心な家に何十年も暮らすのはどうなのかと思います。
また、自分が惚れ込んだ家にせよ次の世代がそれを引き継いでくれるとは限りません。
何十年も住む家を選択するときに大切なことは、工法や断熱材、ましてや住宅設備が先では無く、快適で健康的な暮らしが出来るのか、将来に渡って暮らしの変化に対応した変更が出来るのか、子供たちが巣立つ家としてふさわしいか、性能や工法が優れているのはもちろん大切なことですが、その前に暮らしやすさが優先されなければいけません。
そこのところの判断は、感性によるところが大きいのだと思います。
感性を養うには、「自分たち家族はどう暮らしたいのか」、「暮らしの中で何を大切にしないのか」、など話し合い、夫婦で進みべき方向を定め、少し勉強してみることです。
その上でモデルハウスや、オープンハウスなどを見て回り、話を聞いてみることではないかと思います。
宣伝広告に惑わされないで
外張り断熱や、断熱材の種類、性能だけであれこれと営業している会社は要注意です。太陽光発電や、蓄電池、スマートハウスなど設備品で営業してくる会社も警戒しましょう。家は工法や設備だけが大切なのではなく、あくまで暮らしを包む器としての本来の性能や可変性が大切なのであって、そのほかのことはそれに付加していくものなのです。