公共のスペースをバブリックスペースと言いますね。
パブと言う場合は「大衆的な」というような意味のようです。
住まいはプライベートな場所ですが、その中にもパブリック性はあります。住まいの中でプライベート性が高い場所は、寝室や浴室ですね。
それに対して来客を迎える玄関やリビングはプライベートの中にもパブリック性がある空間と言えます。よく言う玄関は家の顔なのです。
訪問者を玄関の中まで招き入れる割合は2割ほどと言われています。
8割の訪問者はインターホンかドア越しで用が済むということなので玄関の中まで入る方はある程度親しい方、又は特別な用事のある方と言えそうですが全てオープンというわけにはいきませんね。
そこがパブリック性の問われるところです。
玄関に招き入れた訪問者ですがさらにリビングまで招く人はどのくらいでしょう。
訪問者をすべてリビングまで招き入れる人はいないと思います。
ほとんどの訪問者は玄関まで招き入れれば、訪問の目的は達せられます。
つまり多くの訪問者は玄関だけを見てその住いのイメージを形付けてしまうということです。
広い狭いという物理的なイメージは確かにあるものですが狭くても雰囲気のある玄関、居心地のいい玄関というものを短時間の訪問者にも感じていただきたいと考えています。
たとえば、近所の人とコミュニティーの話をしたり、宅配便を受けとったり、新聞代を払ったり、玄関は多くのパブリック機能が行きかう場所なので、本来はゆったりした空間にしたいところですが居室の広さを優先するあまり、後回しにされがちです。
パブリック空間としての玄関は風通しがよく、ゆったりと開かれていると快適な空間になります。
あまりにプライベートな印象が強いと訪問者にとっては落ち着かない空間となります。人のプライベートを見るのは気が引けてしまいます。
広さはあるに越したことはありませんが、狭くても居心地の良い玄関をつくることはできます。
大切なのは2点
ひとつは収納です。
多少玄関スペースを犠牲にしても下足入れ以外の収納を確保しておきたいところです。
多少狭くてもすっきりとした空間はゆとりが感じられます。
趣味のものも置きすぎるとプライベート感が出過ぎてしまうので気を付けたいところです。
もうひとつは空間としての演出です。
ベンチをしつらえてみたり、お気に入りの椅子を置いてみたり、大きな窓をデザインしてみたり、単なる靴を脱ぎ通過するための空間ではなく、くつろげる演出をしてみると家の顔としてもいい感じになると思います。
部屋を割り振って余ったスペースではなく、「家の顔」として意識してみるとまた違った空間になるはずです。