プランを考えるときに一番考えなければいけないのは、将来子供たちが独立し夫婦二人になった時の生活です。
子供が小さなうちは広い部屋で川の字で寝る。個室が必要になれば一時的な簡易な間仕切壁をつくる。
子供たちそれぞれに個室が必要なのは一般的に8年から10年と言われます。
独立してしまえばまた元に戻して広く使う。
暮らしの変化に柔軟に対応できるプランニングが大切です。
必要かどうかもわからないのに部屋数にこだわるのはやめたいと思います。
いざというときにつくれればいいわけです。
いろいろアレンジできるプランニングは暮らしの変化に対応し、世代を引き継ぐ暮らしが可能になります。
建物が構造物として成り立つ原点は四角です。
シンプルな木の家では出っ張りや引っこみをつくらず1階の上に素直に2階が載る単純な形をしています。
屋根の形もシンプルです。
単純な四角の形態に、流行り廃りに左右されない三角の屋根が必要十分な軒の出を持ち、建物を覆います。
子供のころにクレヨンで描いた「三角屋根に四角いお家」の絵に似ています。
だれもが記憶の中にある形に近づいていくことで建物は普遍性を持ち、世代を超えて家族をつつんでくれるのだと考えています。
地域の気候風土に合った暮らし方があるように家のつくり方にも地域性があるのです。
埼玉の北西部には良質な杉・桧が植林され伐採適齢期を迎えています。
家族を包むお家の材料がどこの山で育ったのか、だれが育てたのか、そして誰が伐り、だれが製材し、だれが組み上げるのか、お家に使われる木の物語りを知るって素晴らしいことだと思います。
さらに住まいづくりを通じて、子供達や地域に未来を育むことになります。
身近な山林木に関わる仕事が継承されると、地域が元気になります。
顔の見える材料でお家をつくることで地域の自然環境が維持され、職が維持され、地域が元気になる、しかも近山の木は不違和感無く暮らしの空間になじんでいきます。
どうやってつくられたか判らない物に囲まれる暮らしって子供たちにとって
良いことだとは思いません。
だれがどうやって手を動かしていたのか
このお家は誰がつくったのか
手仕事は安心感が得られるとともに地域の「職」を継承するという地域文化につながります。
自分でやってみるということでつくることの楽しさがわかります。
どうやってお家が出来るのか理解できます。
手を動かした記憶はやがてお家への思い入れにつながるのだと考えています。
永く大切にしたい。
住継ぎたいという愛着を育てたいと考えています。
住いの素材は安心できるものを使いたい。
一つの選び方は昔から使われてきた普遍的な素材を見直すことです。
シックハウスなどの可能性があるのであればできるだけ使わないほうがいいのです。
単純に考えていきましょう。
大事なのは今の技法、今の技術でつくることだと考えています。