川島町で2世帯住宅が始まりました。
古い農家さんの建て替え、とはいえ施主は農家を継いでいません。
別に暮らしていましたが、高齢なご両親の心配もあり、同居となりました。
古い納屋や農機具置き場、物置など整理しなければならない建物が複数あります。
母屋は昭和の建物で平屋ですが増築を繰り返してきました、2世帯の生活を引き受けるには少々無理があり、建て替えとなりました。
ご両親お二人と施主家族4人の暮らしを包む住まいです。
生活時間帯の違いを配慮しながらも両世帯の暮らしが自然につながる間取りを考えていきます。
今日は完成引き渡しの日
取説や保証のお話などが終われば、建て主さん大工さん私とみんなでワックスがけ
ワックスは植物由来の自然塗料で無垢材用です。
浸透性で塗りながらふき取りをしていく塗装方法で、コツを覚えれば誰でもできます。体力さえあれば。
塗料はプラネットカラーのグロスクリアーをここの所使っています。
10年単位でノウメンテナンスが可能です。
もちろん汚れは使用頻度により付きますが、基本濡れ雑巾などでの掃除となります。
玄関ポーチや犬走土間など仕上げ工事進んでいます。
玄関土間は洗い出しとなります。
玄関土間というと一般的にはタイルを貼ることが多いようですがもう何年もタイル仕上げはしていないのです。
タイルが嫌いなわけではないのですが、より手仕事に近い仕上げが好きなのです。
今回は洗い出しという仕上げで、仕上げモルタルの中に砂利を混ぜて固まる寸前に頃合いを見て(ここが難しいところ)表面を洗い出し、砂利を露出させます。
体力的にも左官屋さんは大変です。
玄関には土間があります。
土間にはベンチ
北園部の家の親世帯の職業は農業です。
畑仕事の一休みや近所の方の来訪など作業の靴を脱がないでくつろげるところが必要なのです。
暮らしに合わせて何が必要か?設計という仕事には建て主さんの希望することを実現する約束もありますが、暮らしを理解して提案することも大切なのです。
クローゼットや収納、押し入れの作り方にはこだわりがあります。
大切なのは!
壁は布団や衣類の湿気を十分に吸収し、カビなどを発生させないこと
除湿剤などのお世話にならないような作り方が大切、十分に通気を確保しながら湿気を吸収する素材を使います。
押し入も部屋と一緒??いやいや部屋よりも過酷な環境なのです。
棚板はすのこが一番
壁は板壁または漆喰がおすすめ
漆喰は強アルカリでカビを寄せ付けません。
昔からの作りに一理ありです。
構造の確認も終わり、断熱施工完了しました。
断熱材はセルロースファイバーを使います。
一般的には天井面で断熱することが多いですが、当事務所では天井断熱ではなくて屋根面で断熱します。
屋根面の通気垂木の輻射熱防止と相まって断熱性能が高まります。
自然素材系の断熱材は吸湿放湿する性能があります。
使い方のコツは素材の性能を理解して適材適所、機能を妨げない使い方をすることです。
そろそろ加工部材が現場に入ってきました。
おなじみの素材ばかりですがこちらは破風板と言って屋根の軒先を納める部材です。
溝が見えると思いますがこの溝には軒裏の天井板、今回はケイ酸カルシウム版9mmが収まります。
溝が無いといえないかと言われればそんなことも無いのですが、綺麗に納めるにはあったほうがより良い細工です。
図面で指示していなくても何社かあるアーキクラフトの仕事をしていただいている工務店さんは皆さんひと手間かけてくれます。
ひと手間かけるって確かに労力と時間を使うことですが、後の施工がやりやすかったり、仕上がりに納得したいという工務店の考え方がよくわかります。
川島町北園部の家 2世帯3世代同居の家です。ここまでほぼ1年かかりました。
天気がいまいちですが二日がかりで上棟となりました。
すべて地域材で賄い、地域の職人さんが携わる住まいのつくり方、環境負荷の少ない暮らしのために住まいのつくり方で貢献できることもあるよね。
杉桧の構造体は見ていてもきれいなんです。
(有)福弥建設さんご苦労様です。
土台を敷き込んでいます。
上棟前にまずは土台を入れ1階の床下地まで施工してしまいます。
土台に使う材料は埼玉産の桧で120角です。
乾燥状態は12%程度 低温の人工乾燥です。
大引きという床を受ける材料は埼玉産の杉でこちらは90角です。
同じく人工乾燥をしています。
今週末上棟予定です。
基礎鉄筋工事です。
基礎コンクリートになぜ鉄筋を入れるのでしょうか。
コンクリートは圧縮にはとても強く住宅の荷重程度壊れることはありません。
また地震においても圧縮だけ受けるのであれば鉄筋の必要はありません。
コンクリートは圧縮にはとても強い代わりに引っ張りの力には弱い性質があります。
引っ張りに抗う役目が鉄筋にはあります。
基礎には柱から土台を介し建物本体だけではなく、地震や風の荷重といった複雑に動く、変化する荷重を受け止めなければなりません。
その時に基礎は圧縮だけではなく引っ張りの力も受けます。
鉄筋とコンクリート両方そろって初めて大きな地震荷重などにも耐えることができるのです。
基礎工事が始まりました。
白いシートはポリエチレンシートで防湿の役目で入れます。
コンクリート単体でもある程度厚みがあれば、シートを敷かなくても防湿効果はあります。
土間が直接仕上げの下地になる場合や、基礎断熱の場合は必ず必要です。
一般的な床暖熱で床下に外気が入る状態であればコンクリートだけでも防湿効果は十分かなとも思います。
防湿以外にもシートを敷くことでシートの下の砕石地業が鉄筋工事やコンクリート構図で荒らされなくて済みますので精度な高い基礎工事としても有益です。
地鎮祭でした。
寒いけど天気も良くつつがなく執り行われました。
神主さんは地元の神社さん。
長年の建築家業ですが女性の神主さんはそういえば初めてでした。
なんだか和らかな感じの地鎮祭でした。
街場では工事期間中アパートなどに仮住いが一般的ですが、農家さんの発想は違います。
敷地内で済ませます。
農業用倉庫、コメの乾燥機置き場を改装し仮住まいです。
仮とは言え、風呂トイレキッチンも当然必要です。
キッチンは解体するものを取り付けますが、風呂はそうもいかず賃貸用の安価なものですが新品を設置しました。
一通り電気も給排水も必要ですが幸いなことに農業用倉庫なので電気は引き込まれていました。
いろいろと懐が深い農家の暮らしです。
断熱材も床、壁、天井に入れました。
たぶん今までの母屋より暖かいんじゃないかな・・・
開発許可から確認許可まで完了し、工事契約も整いました。
許認可には正直時間がかかりました、まず広い敷地の農家ですので母屋のほかにかつての豚舎いまま物置から始まり、木造平屋の物置が2棟に木造の農業用倉庫(米の乾燥機置き場)も2棟、先々代からの納屋にトラクターの車庫などなど
敷地はひとつなのでどこに何があり、
その面積は?
構造は?
全体の容積率は?
建蔽率は?
排水放流の許可は?
接道条件は?などなどすべて整理しなければなりません。
建築確認より前段階の方が大変でしたが全てクリアーとなり工事契約も整いました。
仮住まいは農業用倉庫を改装しています。
スウェーデン式による地盤調査とハンドオーガーによる土質サンプルを採取しました。
サンプルは左上から25cm刻、右下が2.0m地点の土質です。
水分を多く含んだ粘土質
地下水位も2.0mほどで確認できました。
予想していましたが、この時期で地盤面下2.0mが水位とは高いです、浄化槽掘るだけで水が出てきそうです。浄化槽などは水位が高いと浮力で浮いてきてしまうこともあるので注意が必要です。
調査結果と考察はまだ出ていませんが改良の覚悟はできました。
伐採しました。
伐採現場見学会で和室の角に使う8寸角の柱にする予定です。
伐採場所はときがわ町の山林 街から一番近い林業地ではないでしょ言うか。
自然素材とはいえ住まいに使われる素材はほぼすべて人の手がかかわっています。
この杉も90年ほど前にいつか使われることを考え誰かが植えてくれてものです。
地域材を使うということは里山の先人とつながることでもあるんですね。
誰かが植えた。ということに感謝しながら使いたいと思います。
子供たちもこの体験を覚えていてくれればきっとお家が好きになる。
大工さんや工務店、設計が100年持つと言おうが、どんなにしっかり造ろうが子供たちに愛されなければ30年で壊される。
耐久性のあるハードはとても大事、でもそれだけでは世代は引き継ぐことはできない。
そこを考えていくことが大事なのです。
川島町 北園部の家
古い農家さんです。
2世帯住宅でほぼ間取りも確定、今日は許認可に向けて排水放流の同意書などを提出しました。
水路放流ですが水路は農業用水路としても使われているため水路整備や管理は土地改良区という部署の同意を得なければなりません。
同意を得たうえで次は河川課の水路占用許可を受けます。
さらにそれをもって都市計画課で適合証明を申請します。
そして適合証明が取得出来たら建築確認申請が提出できます。
どうも接道に関しても水路占用許可を取り直さなければいけないかもしれない。
何せ古い土地なので現状で使っている分には何も問題ありませんが、改めて許認可となるといろいろ整理しなくてはいけないのです。
年内確認厳しいかも知っれない。
写真は解体予定の納屋です。
明治ごろだろうとのことでいつ建ったのか不明です。
板金屋根の下は藁ぶきです。
住まいの間取りとは限られた面積をどのように有効に使うかを考えることでもあります。
ちょっとしたレイアウトの変更で使い勝手は変わります。
設備の選定を考えるも前に、内装仕上げをイメージする前に暮らし方をイメージしなければなりません、さらに言えば、10年後、20年後、世代が代わったときにどう使い、どう直していくのか、暮らしの変化は必ずおとづれることです、その時に壊さず使い続けられるストレスなく暮らせることを考えていきましょう。
2世帯住宅で気を付けなければいけないのは生活音です。
年代により生活サイクルは違うのが普通です、起きる時間寝る時間が違えば隣の音、上下の気配は気になるもの、閉じるところは閉じ、開けるところ開ける、共有するのかしないのかよくよく考えて行きましょう。